値段が安いこと、ファイザーやモデルナに比べて効果が低いこと、そして1回目と2回目のインターバルが28日以上84日以内と長すぎる(ファイザーは21日、モデルナは28日)のもアストラゼネカの不人気に拍車をかけていた。ワクチン接種に行ってアストラゼネカとわかると拒否して帰ってしまう人、自分の予約日が近づくにつれ、「アストラゼネカと言われたらどうしよう」と悩む人が私の周りにもたくさんいた。
イタリアでは基本的に接種当日、会場に行くまで何を接種されるかはわからないし、自分で選ぶこともできない。だからファイザーやモデルナの接種を受けられた人たちは、まるでブランド物を自慢するように「私はファイザーだった!」と声高に喜んでいた。
そんなとき、アストラゼネカのワクチンを接種した女性が血栓症で死亡するという事故が起きた。健康体の18歳だったことを重く見た政府は、即座にアストラゼネカの使用をストップ。60歳以下への接種には今後アストラゼネカを使用しないと即時決定した。まだ一度も接種を受けていなかった60歳以下の人たちはホッとしたかもしれないが、すでに一度目の接種をアストラゼネカで済ませている人たちはどうするのだという大議論が巻き起こった。今のところ、違うワクチンを混ぜたくないという人にはアストラゼネカを許可し、そうでなければファイザー、またはモデルナで、ということに一応落ち着いている。
そして私の接種日がやってきた
私は花粉やハウスダスト、犬猫の毛などにアレルギーがあって、喘息気味である。それで一応ホームドクターに相談してみると、「喘息があるなら接種24時間前と1時間前、接種後4日間抗ヒスタミン薬を飲みなさい」と指示された。とても忘れっぽい私は、前日からアラームをセットしてキッチリ服用した。だが接種前の問診で「アレルギーは薬品アレルギーのみ気をつける必要があるんです。花粉や犬猫は関係ないですね」と医師から言われがっかりすると同時に、ホームドクターへの情報の不徹底にあきれることになった。
接種会場のLavazza(ラヴァッツァ)は、1895年にトリノで創業したコーヒー・メーカー。会社のイベントスペースを接種会場として提供したようだ。広い敷地に到着してみると、「入口」と「出口」に分かれていて、人の流れが交差しないようになっているのは、もはやコロナ時代の常識。
入口へ行くと数人が並んでいたが、10分もしないうちに建物の入り口に到着。そこで必要書類を持っているか、すでに記入してあるかのチェックを受けてから、受付ブースに案内される。待つことなく番号札をもらい、いよいよ待合室へ。
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