「私はファイザーだった!」声高に喜ぶ人の心理

イタリアでなぜ「アストラゼネカ」が不人気か

私はといえば、超高齢者の予約が一段落した後にスタートした一般予約開始日に、ピエモンテ州の予約専用サイトを軽い気分でのぞいてみた。モノは試しと名前、生年月日などの必要データを入力してみたら、拍子抜けするほど簡単に予約ができてしまった。

ダウンロードした接種票と当日会場でもらった番号札。何人が順番待ちをしているかが書かれ、最後に「よい1日を!」とあるのがイタリアらしい(筆者撮影)

イタリアでは、公的な手続き関係は複雑で一筋縄ではいかないことがとても多いから、ワクチンのネット予約もさぞかし複雑だろうと覚悟していたのだが、始めてからものの5分ほどで手続き終了。「あなたの予約を受け付けました」という予約番号とともに、「接種当日に必要な書類」「接種会場までの公共交通機関の無料バウチャー」がダウンロードできるようになっていた。

本当のことを言えば、絶対に安全かどうかわからないものを身体に入れていいのか、という不安がないとは言い切れない。予約できちゃったのか、じゃあ、行こうかな。そんなのが正直な気持ちだった。いい加減と言われるかもしれないが、考えても、どんなに調べても、科学者でもない私には本当のところはわからない。ただわかっているのは、今はワクチンをしなければ前に進んでいけないこと、それだけだ。

それから10日後、スマホに予約日時を知らせるSMSが届いた。6月14日18時10分、会場は自宅から車で20分ほどのところにある、トリノの老舗コーヒー・メーカー「ラヴァッツァ」本社とのこと。

アストラゼネカの恐怖

イタリアには「NO VAX」というワクチン絶対拒否派が国民の7.5%ほどいるそうだが、絶対拒否ではなくとも、できれば接種したくないという人はもっとたくさんいるだろう。

イタリアで使用されているワクチンは、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、そしてジョンソン&ジョンソンの4種類(日本はファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3種類が薬事承認されているが、アストラゼネカについては審議中)だが、毎日のように報道される、ワクチン接種による副反応や死亡事故のニュースを見聞きすれば、不安になり、接種をためらうのは当たり前だ。

そんな不安の中でも、ダントツはアストラゼネカ製のワクチンに関するものだ。イタリアでアストラゼネカが承認され使用が開始された直後は、高齢者の治験データがないから55歳以上には使用しないということだった。

ところが40~50代の接種者であいついで血栓症が起き、死者も出た。すると今度は60歳以上の人にのみ使用すると180度方針が変わった。だが接種スピードが増していくにつれて、いつのまにか60歳以下も使用OKとなった。二転三転するワクチン政策、そして「ワクチンをして得られる安心と、ごく稀にしか起こらないワクチンによる被害を天秤にかけて考えてください」などという一か八か的な説明に、政府やEUに不信感を抱く人がどんどん増えていった。ごく稀だって、それが自分に起きないとは限らない。

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