前席同様、後席シート座面は大腿部をしっかりサポートするのでブレーキング時に前のめりにならず、背もたれ部分にしても左右席は適度に肩あたりを中心にサポートするよう盛り上がっていてカーブでも身体が安定するので、カーブの連続する山道でも安心して乗っていられた。
分割可倒リヤシートが設けられたトランクルームはサスペンションの張り出しが少なく広くて使いやすく、トラックリッドのステーは全体を樹脂カバーで覆う。
なお、ファーストエディションを含む30 TFSIシリーズグレードのリヤサスペンションはトレーリングアーム式で、2.0Lエンジンを搭載する40 TFSI以上の上位モデルはダブルウィッシュボーン式を採用する。
スポーツモデル「S3」の走りは?
もう1台の試乗車は直列4気筒2.0L・DOHCターボエンジンを搭載した「S3スポーツバック・ファーストエディション」(711万円)だ。310馬力/400N・mのハイパワーを、アウディが長らく「quattro®」と呼ぶ4WD(4輪駆動方式)で伝達する。
A3と同じ試乗コースを走らせたが、当然ながら速度のノリは段違いに早い。また、ステアリング機構は専用のプログレッシブステアリングによりギヤレシオが早められ、車体の動きは左右方向にも機敏だ。
足元にはファーストエディションの特別装備として19インチの大径ホイールが装着され、電子制御により任意の可変減衰特性が得られる「ダンピングコントロールサスペンション」が組み合わされていた。
ドライビングモードの変更機構である「アウディドライブセレクト」でコンフォートモードを選択すれば、ハイパワースポーツモデルが不得意とする低速域での乗り心地が劇的によくなり快適で、ダイナミックモードにすれば曲率のきついカーブが続く山道でも安心して走り抜ける。
魅力③/新しいデジタルHMI。かねてアウディではデジタルコックピット化を推進する。
新型A3シリーズでは、センターコンソール上部の「MMIタッチパネル」を10.1インチ、ドライバー前のディスプレーである「バーチャルコクピット」では10.25インチ(S3ではさらに大きな12.3インチ)の液晶画面を採用する。
単なる液晶画面だけなら国内外の各車も採用しているが、アウディの場合は液晶画面に対するタッチ機構と、物理スイッチによる液晶画面のコントロール、そして従来からのレバー形状スイッチ、この3つをうまく組み合わせている。
なかでも感心したのはタッチ機構の操作性だ。タッチした際の反応速度が過敏でなく、どんな場面でも操作しやすい。
運転中、こうしたタッチ機構を使って操作すると、走行時の振動で指では小さな画面上のスイッチを正しく押せないことがあるが、MMIタッチパネルは適度にドライバー側に角度が付けられ、さらに寝かされているので誤操作が少ない。
このデジタルHMIは既存のレバー形状スイッチとの相性もいい。例えばウィンカーレバー先端部にある車線維持機能のオン/オフスイッチや、ウィンカー下部にもう1本存在するACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)系の操作レバーなど、目的に応じてデジタル/アナログの各HMIが共存する。
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