「ヤリスクロス」、C-HRやライズと異なる強み 激戦区のSUV市場でどこをアピールするのか

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2020年秋に発売が予定される「ヤリスクロス」(写真:トヨタ自動車)

トヨタ「ヤリス」が発表されたのは今年2月のことだが、2カ月後の4月にはそのSUV版となる「ヤリスクロス」が、ジュネーブ国際モーターショー開催中止を受け、オンラインで世界にお披露目された。

プレスリリースでは、「ヤリスの資質を継承する新たなSUV」と位置付けている。2020年秋に日本で、2021年の半ばに欧州で発売される予定だ。

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世界的にSUV(スポーツ多目的車)の人気が続いている。SUV人気を高めたのは、1997年のトヨタ「ハリアー」だが、これまでSUVは比較的大柄な車種を中心に広がってきた。それが、ここにきてコンパクトSUVと呼ばれる車種が充実し、人気を博している。

例えば、2019年3月に発売されたボルボ「XC40」は納車が追いつかないほどの受注を続けているし、同年11月に導入されたフォルクスワーゲン「Tクロス」も好調だという。ほかにも、アウディ「Q2」、ジープ「レネゲード」、フィアット「500X」、ルノー「キャプチャー」、シトロエン「C3エアクロスSUV」、プジョー「2008」、「DS3クロスバック」など、枚挙に暇がない。

国内においても、トヨタには人気の「C‐HR」があり、また昨年はダイハツ「ロッキー」とともに「ライズ」を発売し、わずか1カ月で販売目標の8倍近い3万2000台を受注している。

ヤリスクロスは、そうした激戦区でどのような戦力となっていくのだろう。

ヤリスより一回り大きな専用ボディ

ヤリスクロスに関する情報は、まだ限定的だ。十数枚の写真と、社内測定値による参考としての主要諸元、そして概要を記した若干の文章だけである。

デザインは「シンプルながらも、SUVならではの“ロバスト”(頑強さ)を表現した」と言う(写真:トヨタ自動車)

主要諸元から読み取れる車両概要では、ヤリスが日本の5ナンバー枠に入る小型車であるのに対し、ヤリスクロスは全長が24cm長く、全幅は7cm広くなって1.7mを超え、3ナンバー車となる。全高は、6cm高くなっているが、おそらく車体床下と地面との隙間である最低地上高が高められているからだろう。

SUVの場合、ジープのような4輪駆動車とは異なるものの、未舗装路も走れる性能が求められるので、舗装路を前提とした乗用車に比べて最低地上高を高めの設定としていることが多い。

そのうえで写真を見ると、ヤリスの車体をもとに最低地上高を高めただけでなく、ヤリスクロス専用の車体が用意されたように見える。

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