「ヤリスクロス」、C-HRやライズと異なる強み 激戦区のSUV市場でどこをアピールするのか
コンパクトSUVとして、フォルクスワーゲンには「クロスポロ」というTクロスの前身となる車種があったが、クロスポロ時代は「ポロ」の車体をそのまま使い、SUV風の雰囲気を与えたつくりであった。現在のTクロスは専用車種だ。
ヤリスが発売されてわずか2カ月余りの短期間で登場したヤリスクロスも、もしかしたらクロスポロと同じような様子かと最初は思っていた。
ハイブリッド車の「アクア」に、「アクアクロスオーバー」というクロスポロに似た車種があるからだ。だが、発表されたヤリスクロスを見てみると、ヤリスとは別ものとして開発されたようだった。
とはいえ、ヤリスで使われたTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)のGA-Bと呼ばれるプラットフォームを活用しているので、開発の基本思想は同じだといえる。プレスリリースで「ヤリスの資質を継承する新たなSUV」といっているのも、そのためだろう。
こうした展開は、現行の4代目「プリウス」がTNGAを初採用してフルモデルチェンジをしたあと、SUVのC‐HRがそのTNGAを生かして誕生したのに似ている。
基本思想を同じとしながら車種固有の魅力を加えたC‐HRは、感嘆するほど全方位に優れたSUVとして生まれ、一気に人気を高めた。先発のライバル、ホンダ「ヴェゼル」をしのぐ販売台数を堅持している。
そこから推察すれば、ヤリスクロスの潜在能力はかなり高いのではないか。ことに走行性能に関しては、ヤリスの評価が高く、それに通じる走りを満たしたコンパクトSUVとなっていると予測できる。
「C‐HR」や「ライズ」と食い合うことはないのか?
トヨタには、C‐HRという根強い人気のSUVがあり、また5ナンバーのライズもある。その中間といえるヤリスクロスは、どのような選択肢となっていくのだろう。トヨタのSUV同士で食い合いになってしまうことはないだろうか。
ヤリスクロスは、C‐HRとライズの中間的な車体寸法を持つ。車庫の事情や用途などから、ヤリスクロスがちょうどいいという消費者は、当然いるだろう。
また、エンジンや駆動方式なども、互いに重なり合わないような絶妙の仕分けが行われている。
C‐HRはハイブリッド車とガソリンエンジン車があるが、4輪駆動を選べるのはガソリンエンジン車だけで、ハイブリッド車はFF(前輪駆動)のみとなる。ガソリンエンジンは、排気量が1.2リッターのターボエンジンだ。
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