豊田アナ「私が鬼教官と呼ばれる道を選んだ理由」

アナウンサーが新人研修担当者になった経緯

それからはアナウンサーの仕事だけでなく、空いた時間はアナウンス部のために「これをやってもらえる?」といった振られ方で降りてきた、裏方の業務をこなすことが増えていきました。部のマネージメント業務や放送済みの資料などを片づける雑務。大切な仕事ではありますし、実は私はコツコツと手間のかかることは嫌いではないため、1人で黙々とこなしていました。

歴代のアナウンサーが残した膨大な資料の整理まで手をつけていた私に対して、部内では「豊田は手間のかかる仕事担当」「頼めばなんでもやってくれる」みたいな雰囲気もだんだんと生まれていきました。

私自身は、週末のオンエアと地道な業務でフル回転していたつもりでしたが、周りからはヒマに思われていたのかもしれません。我慢の時代だったと思います。もし私が異動でいなくなったら、私がやっていた「地道な業務」の意味が初めてわかるんだろうなと思いながら、気持ちを振り切って、割り切って仕事を続けていました。

ゼロから自分が何をできるか考えた

日本テレビの人事部は、2000年から成果申告制度を導入しました。これによって半期ごとに行われる上司との面談の場で、仕事の希望や成果を伝える機会ができました。

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私も後に管理職に登用されるまでこの面談を受けてきましたが、胸を張って申告できるような華やかな成果があるわけでもなく、制度導入当初はあたり障りなく受け答えしていました。提出する報告書も自分の感想や気持ちは入れず、淡々と事実だけを書きました。部内のマネージメントに関わる電話を一手に引き受け、シフトの管理業務を何百時間やりました―そんな感じですね。

具体的な数字を加えた報告には「誰もいないでしょ、こんなにやっている人は」という気持ちも少しだけ込められていたかもしれません。アナウンス部にかかってくる仕事発注の電話は、今でこそ十数人いるデスク担当者が受けていますが、1週間私だけで受けていたことがありましたから。

改めて振り返ると、この面談で向き合う相手は会社や上司ではなく、自分自身だったような気がします。電話の本数、業務にかかった時間数を具体的に記してみると、自分の仕事を可視化することができました。

そうすると今の自分はクサるほど八方ふさがりの状態ではないし、ゼロから自分は何ができるかを考える冷却期間だと思えるようになったのです。同時に、会社の商品としての後輩達の仕事も客観的に観察することができ、そんな時に大切だと考えられるようになったのが新人研修・人材育成だったのです。

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