サスペンションは、乗り心地がソフトでよく動く感じだ。ライバル車のヤリスクロスやキックス、CX-30などのサスペンションはもう少し硬めの設定で、いずれも乗り心地はいいが味付けがヴェゼルと違う印象だ。ライバル車の中では、ヴェゼルのサスペンションが最もソフトな設定だといえるだろう。なお、新型のサスペンションは、フロントのフリクションを低減し、リアはダンパーストロークを拡大している。ホンダの開発者によると、新型では、スプリングのバネレート(硬さ)を先代に比べ10%下げて動きを向上したが、それでもハンドルの応答性はかなりいいという。
SUVモデルであるヴェゼルは、ある程度の車高が必要なので、やや腰高感やカーブでロールする感じはある。例えば、ヤリスクロスやCX-30のほうが低重心な印象で、同条件で乗っていないため一概には言えないが、ロールも少ない感じがする。ただ、ヴェゼルのサスペンションも、沈み込んだ奧でしっかりと踏ん張るため、安定感は高い。また、よく動くぶん、路面のギャップなどに対しても衝撃をよく吸収するため、車体が暴れるようなことも少なく、安心してカーブなどを曲がることができる。
豪雨の中でわかった新型ヴェゼルのAWD性能
ヴェゼルの4WD車に採用された「リアルタイムAWD」は、プロペラシャフトで後輪を駆動する方式を採用することで、よりリニアで力強い駆動力を常に4輪へ最適配分することが特徴だ。新型では、先代と比べトルク容量を10%増加させるなどで、AWDの機能を強化している。また、e:HEVとの組み合わせでは、モータードライブの特徴である大トルクを、素早く最適な駆動力配分とすることで、悪路や雪道、悪天候時など、さまざまな路面環境でより安定感のある走りを実現するという。
大雨の中で行った今回の試乗では、実際にAWDの効果をかなり実感できた。とくにワインディングでは、濡れて滑りやすいだけでなく、川のように水が流れているような路面でも、安定した走りをみせた。また、直線路はもちろん、カーブの走行ライン上にどうしても避けきれない水溜まりがあり、片輪が入ってしまってもタイヤが空転したり、車体が流れたりすることもなく、きわめてスムーズに走る。雨天時の水溜まりに入りハイドロプレーニング現象が起こると、ハンドル操作が利かなくなり、大きな事故に繫がるため注意が必要なのはご存じのとおりだ。もちろん、速度は適度に落とす必要はあるし、乾いた路面と同等とまではいかない。だが、連続するカーブなどでは、ある程度のスポーティな走りもできたのは好印象だった。
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