ジョージア「郷土料理」が日本で広がり続けるナゾ 日本人引きつける煮込み「シュクメルリ」の魅力
とはいえ、最初松屋から宣伝にあたって国旗を使っていいか、と打診が来たときは驚き、「非常にうれしかった」と話す。前述のとおり、シュクメルリはジョージアの代表的な料理ではないからだ。
「シュクメルリとは、『シュクメリ村の』という意味で、山岳地帯のシュクメリ村の料理です。私の知るかぎり、もともとはニンニクと鶏肉、バター、塩のシンプルなつくりで体を温める料理でした。強烈な個性があることから、村の名前が料理になって全国に広がった。ジョージアには、地名がそのまま料理名になったものは、多くはありません」
レジャバ氏によると、ジョージアにはスプラという伝統的な宴会があり、スプラでは、中だるみする頃にシュクメルリを出し、ニンニクでがつんとゲストの目を覚まさせる、という。
オススメはチーズパンの「ハチャプリ」
ちなみに、レジャバ氏によるジョージア料理の一押しは、チーズ入りパン「ハチャプリ」。また、「ジョージアは乳製品が豊富で、チーズもたくさん種類があります。それからクルミをよく使います。前菜からデザートまで、何でもよくクルミを使うんです。ハーブ・スパイスも非常によく使います」。
ジョージアで有名な食といえば、8000年の歴史があるワイン、一時期ブームになったカスピ海ヨーグルトなど。酪農が盛んで、果物や野菜も豊富だ。
「黒海に面した北海道ほどの小さな国ですが、ヨーロッパとアジアの間にあり、古くから交通の要衝として栄えてきました。いろいろな国のお客さんをワインとともにおもてなしをする、オープンな国です。その一方で、戦争で多くの国に攻め込まれた経験もあり、特色のある自分たちの文化を守ろうとしてきました。山があり、海もあり、熱帯以外のすべての気候帯があります」
豊かな食文化を持つジョージアだが、日本ではなじみ深いとは言い切れない。こうした中、突然のシュクメルリブームは、2019年7月に着任したところだったレジャバ氏にとっても、渡りに船だった。
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