ジョージア「郷土料理」が日本で広がり続けるナゾ 日本人引きつける煮込み「シュクメルリ」の魅力
実はレジャバ氏、日本と縁が深い。4歳から8歳まで生物学者の父の仕事で広島に住み、ジョージア在住歴は約10年なのに日本には合計20年も住んできた。2010年代前半には、キッコーマンに勤めるサラリーマンだった。当時は、ジョージアについて知る人は少なく、説明を尽くしてもなかなか理解してもらえなかった。
その後帰国し、縁あって外務省で働き、在日大使館勤務が決まって再来日を果たす。そこで「まず、もっとジョージアの名前を聞いてもらえるよう最初の1年は努力し、次は何か日本でジョージア体験ができるようにしたいと考えていました。そこへシュクメルリの商品化が続いて、まさしくその目標を達成できた。食は舌で体験できるから、頭で理解する知識と違ってものすごく強いんです」と話すレジャバ氏。シュクメルリをさまざまな方法で売り込んでいる。
自らが「広報大使」になってツイート
「従来外交官は公的な情報を中心に発信しがちですが、日本では政治家もさまざまな情報を発信する。私は33歳でこの業界では若い。出しゃばらないほうがいいかもしれないと思ったのですが、思い切ってツイッターで自分の国のことを発信したら、皆様の反応がよかった」と説明するレジャバ氏。「松屋さんもそうですし、日清食品のシュクメルリの麵が出たときも、いろいろ仕掛けました。全部が全部、そうとう広がりました」
「松原食品のシュクメルリも、実はキッコーマン時代の同僚が出向期間を終え、福岡に戻って開発しました。だから、私の影響はあると思います。今度は、ハルチョーというクルミ入りの牛肉シチューを出すそうです」と明かすレジャバ氏。さらに、緊急事態宣言が明けたら東京・広尾にジョージア料理のレストランができるともいう。
実は、レストラン誕生は悲願だった。日本には世界各国の料理を出す飲食店があるが、ジョージア料理店は以前あった店がなくなり、空白になっていた。出会った人からいちばん多い「ジョージア料理を食べられるところはありますか?」という質問に答えられず、レジャバ氏はずっと歯がゆい思いをしてきたのだ。
「ジョージアの天然炭酸水やワインを輸入する会社が、今度バーをオープンすると知り、『ジョージア料理屋さんにしてください』と手紙を送りました。『これをやったらあなたがヒーローになります』と書き添えて。すると、ジョージア料理研究家の小手森亜紀さんの監修でレストランになることが決まったのです」(レジャバ氏)
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