「ゴルフ8」試乗!電動化に突き進むVWの現在地 伝統の「ゴルフらしさ」とデジタル化のバランス

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実物のゴルフ8を前にしての印象は、ゴルフ7と大きく変わらない。特にエクステリアは「誰がどう見てもゴルフ」で、若干、顔つきがスマートになったように思えるが、あまり代わり映えしていないというのが正直なところだ。

ただし、世代交代をしてもルックスが大きく変化しないのは、ゴルフの伝統でもある。この保守性こそ、ゴルフの魅力でもあるだろう。

一方、運転席まわりの眺めは大きく変わり、デジタル化を顕著に感じる。シフト操作もバイワイヤ化(電子化)されており、レバーはコンパクトでモダン。最新・最先端のモデルであることが、見るだけでわかる。見えるところは大いに変わっている。

ダイヤル式だったヘッドライトスイッチもタッチスイッチ化された(筆者撮影)

しかし、見えないところはそうでもない。プラットフォームはキャリーオーバーだし、エンジンそのものも、新開発ではない。48Vマイルドハイブリッドを組み合わせただけだ。これでは、“フルモデルチェンジ”ではなく“スキンチェンジ”ではないだろうか。

ゴルフ8ではなく、ゴルフ7.5だ。いや、ゴルフ7の後期型が7.5と呼ばれていたから、“ゴルフ7.8”ぐらいだろうか。そもそも、フォルクスワーゲンは電動化に最も積極的なメーカーでもある。正直、「内燃機のゴルフは、もう手抜きをしているのではないだろうか」との疑念も浮かんでしまった。

運転してみると印象は一変

ところが、そんなネガティブな思いは、実際に運転してみるときれいさっぱり消え失せた。それどころか、とてもポジティブな評価に変わった。1.0リッターと1.5リッターの両方に試乗できたが、両方とも良い印象を得たのだ。

乗ってみてすぐに気づいたのが、ステアリングの軽さだ。ポイントは、“ただ軽いだけ”ではなく、ちゃんとタイヤからのインフォメーションが返ってくること。パワーステアリングのアシストを強めたのではなく、ステアリング系のフリクションを減らしたのだろう。

そして、スタートが力強い。これが48Vマイルドハイブリッド化によるモーターアシストの効果の1つだろう。また、変速もスムーズ。そして、乗り心地が良い。しなやかに路面からのショックをいなし、そして路面の凸凹にタイヤを追従させている。

これはトレーリングアームの1.0リッターモデルも、マルチリンクの1.5リッターモデルでも、同様のフィーリングであった。

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