クルマのフルモデルチェンジとひと口に言っても、一新レベルから熟成レベルまでいろいろある。パソコンや家電製品など多くの製品に共通することであるが、プラットフォーム、パワートレイン、デザインのすべてをゼロから開発したフルモデルチェンジは稀であり、一部を先代から受け継いだ例が多い。
6月15日に発表された、通算8代目となるフォルクスワーゲンの新型「ゴルフ(通称:ゴルフ8)」も例外ではない。
先代で初採用したMQBプラットフォームを継承しており、エンジンも先代の進化版だからだ。
MQBはゴルフのほか、「ポロ」から「パサート」まで、現在日本で販売しているフォルクスワーゲン車では、先代ゴルフの前に登場したミニバンの「シャラン」以外の全車種に使われている。
よって、ボディサイズは先代のゴルフ7からさほど変わっていない。全長4295mm×全幅1790mm×全高1475mmで、先代と比べると30mm長く、10mm狭く、5mm低くなった。全幅をゴルフの歴史上で初めて狭くし、2世代前と同じ数字に戻したことは、日本のユーザーにとってありがたい。
全高に関しては説明が必要だ。先代は途中のマイナーチェンジでアンテナ形状の変更もあり30mmも高くなっているからで、低くなったというより、前期型と後期型の中間に収まったというほうが適当だろう。
ホイールベースが短くなった理由
全長が伸びたのに対し、ホイールベースは15mm短い2620mmになった。これはワゴンの新型「ゴルフ・ヴァリアント」との差別化を図るためだ。ドイツで発表している新型ゴルフ・ヴァリアントのホイールベースは、逆に約50mm長くなっている。
Cセグメントと呼ばれるゴルフと同じクラスで、ハッチバックとワゴンの両方を持つ輸入車としてはほかにプジョー「308」がある。このクラスのプジョーは伝統的にハッチバックよりワゴンの「SW」のほうがホイールベースを長くとる。それに倣って差別化を図ってきたようだ。
スタイリングは、キャビンまわりについては先代に似ている。ジョルジェット・ジウジアーロがデザインした初代以来のアイデンティティである、リアドア後方の太い“くの字型パネル”のおかげで、ひと目でゴルフだとわかる。
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