走りがいいだけにデザインがなぁ……。本田技研工業(ホンダ)の乗用車の中ではもっとも長い歴史を持つ「シビック」のうち、最近まで販売されていた先代に対する筆者の評価だ。
ドイツのニュルブルクリンク北コースでFF(前輪駆動)最速の座を争う「タイプR」まで想定したプラットフォームは、軽快な身のこなしと高次元の安定性、しっとりした乗り心地を両立していた。
Cセグメントと呼ばれるこのクラスで、輸入車を含めても走りはトップレベルにあると思ったものだ。問題は、そのメカニズムを包み込むボディだった。
ハッチバック/セダンともに取り入れたファストバックスタイルは、かつて複数のホンダ車が採用していたので納得できたが、フロント/リアまわりの煩雑な造形には辟易した。
なので、6月24日に世界初公開された新型シビックの姿を見て、ひと安心した。
コンセプトは「爽快シビック」
日本では8月発表・秋発売予定とアナウンスされている新型のボディは、先代と同様にハッチバックとセダンがあるが、日本で販売されるのはハッチバックのみとなる。
エンジンはまず、先代と同じ1.5リッター直列4気筒ターボが導入されるが、2022年には2.0リッターターボのタイプRとともに、1.5リッターエンジンに2つのモーターを組み合わせたハイブリッドの投入も公表している。
シビックに近いクラスのハイブリッド車には「インサイト」もあるため、バッティングを避けるために、日本ではハッチバックのみとしたのかもしれない。
コンセプトは「爽快シビック」で、親しみやすさと特別な存在感を併せ持ち、乗る人全員が爽快になることのできるクルマを目指したとのこと。
ホンダのクルマづくりの基本である「人中心」の考え方を深く掘り下げ、気持ちが明るくなるような開放的なデザイン、質の高い走行体験を提供するダイナミクス、直感的に使うことのできるHMI(Human Machine Interface)などを提供したという。
ボディサイズは全長4550mm×全幅1800mm×全高1415mmで、ホイールベースは2735mm。先代と比較すると、全長が30mm、ホイールベースが35mm長く、幅は同じで、背は5mm低い。
パッケージングに目を移すと、ファストバックスタイルは同じであるものの、前輪とキャビンが離れたことがわかる。フロントピラーの根元の位置が、後方に移動しているのだ。
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