新型「シビック」のデザインに、ひと安心した理由 軌道に乗ってきた「ノイズレス」のデザイン

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先代のインパネはエクステリア同様、いろいろな要素を整理しきらないまま並べていた印象だったが、今回はすっきりした水平基調で、上にメーターとディスプレイ、下にスイッチやコンソールを配したレイアウトとなり、明快だ。それでいて個性を打ち出すことにも成功している。

たとえば、横いっぱいにわたる細いメッシュのパネルは、エアコンのルーバーを内蔵するだけでなく、アクセントになるものを目指したという。

水平に伸びるメッシュのパネルが特徴的なインストルメントパネル(写真:本田技研工業)

その目標はみごとに達成されているし、オーディオ機器を思わせる見た目は、オーディオブームの頃に誕生し、成長していったシビックにふさわしい。

その一方で、エアコンのコントローラーをダイヤル式としたり、メーターをデジタルディスプレイでありながら円形としたり、先進性だけを追い求めず、真に人が使いやすい形にこだわっている。操作系の触感については、今後試乗できる機会が訪れたら確かめてみたい。

軌道に乗ってきた「ノイズレス」デザイン

新型シビックのデザインを眺めながら感じたのは、最近ホンダがカーデザインを説明するときに多用する「ノイズレス」、つまり無駄な線や面がなくシンプルかつミニマムな状態を本気で追求している、ということだ。

思い起こせば、先代シビックはとりわけフロント/リアまわりにノイズが多い造形だった。

先代型のシビック・セダンとシビック・ハッチバック(写真:本田技研工業)

しかし、まず軽自動車の「Nシリーズ」から、シンプルかつミニマムという方向性を感じるようになり、現行フィットや電気自動車の「ホンダe」では、実際にプレゼンテーションでノイズレスという単語を耳にするようになった。

そして、2021年に入ると、まずSUVの「ヴェゼル」がこの方向性で一新し、続いてシビックもモデルチェンジでその路線に乗った。ニュースリリースでは、インテリアの項にノイズレスという文字がある。

クルマに限らず、現在の工業製品は構成要素が似通っているので、シンプルやミニマムを突き詰めると、似たようなデザインになりがちだ。実際にヴェゼルでは他車との類似性を指摘する意見も出た。

しかし、新型シビックは、ファストバックスタイルやインパネ全幅にわたるメッシュパネルなどで、独自性を打ち出すことに成功している。筆者はこの新型シビックを見て、「ホンダのカーデザインの方向性が、ようやく軌道に乗ってきた」という印象を抱いた。実車を見て・触れられる機会が訪れる日を、大いに楽しみにしている。

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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