ジャガーを手放してわかった昨今の中古車事情 1年7000kmも走ったのに30万円高の値がついた
最近まで筆者はジャガーに乗っていた。「XF」という名のミドルクラスサルーンの現行モデルだ。今や希少になりつつあるFR(後輪駆動)で、大柄でゆったりしたボディはアルミニウム製。駆動輪と操舵輪で役割が分かれているクルマならではの、軽快な身のこなしが魅力的だった。
エンジンは経済性に優れるディーゼルで、自分が走らせた期間の合計記録で16.4km/lも走ったうえにガソリンに比べ燃料自体が安いのも気に入っていて、ホイールの傷修正やボディコーティングを施してピカピカにし、当分乗り続けるつもりだった。
それを2020年秋、手放した。気づかぬうちに当て逃げされて動揺していたタイミングで、聞き捨てならない話を耳にしたからだ。
新型コロナで輸入中古車価格が急上昇
昨年は新型コロナウイルスの広がりで、あらゆることを自粛しなければならず、人々は収入をはじめ将来の心配を抱えていた。これにともない自動車の下取り価格も一時期大きく下落した。
加えて、昨年はアメリカ大統領選挙があった。選挙が終わると株価が下がる、という有名なアノマリー(規則性)がある。日本の景気への影響も必至だろう。ジャガーXFというクルマは比較的マイナーゆえ、中古車店頭での在庫期間が長くなる傾向があり、そういうクルマの価値は、景気に大きく左右される。
そんな中で、きっと自分のクルマの価値も下がってしまったんだろうなと思っていたら、たまたま食事をご一緒した旧知の輸入中古車専門店の社長が、「いま、中古車の仕入れ価格が2〜3割も上がっている」と嘆いていたのである。理由はこうだ。
安定した仕事のある中流以上の人々は、旅行に行けない、ファッションに凝っても仕方ないと困っていて、余ったお金が高級車に回りはじめた。公共交通機関で移動することを敬遠してクルマを選ぶ人も増えた。
他方、新型コロナで工場が動かないせいで自動車の生産は滞っており、新車を注文しても従来より納期がかかるケースが多くなった。これにより、現場にあるものをほとんど待たずに買える中古車の需要が高級車を中心に増大。相場価格が急上昇したのである。
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