シーズン2のはじめの1、2話は、シーズン1から続くストーリーが展開され、追跡劇が中心。「ルパンとガニマール警部」「ルパン三世と銭形警部」の関係を彷彿とさせるシーンは楽しめるポイントですが、トリックの見せ場が激減していることが残念な点です。その辺りがシーズン1を下回る評価につながっているのだと思います。
とはいえ、3話からは一気にラストに向けて伏線が張られていきますのでご安心を。シーズン1で味わった謎解きの楽しさが復活します。Netflixによる「(日本の)今日の総合TOP10」にもリリース後にランクインされ、注目度の高さがうかがえます。
イギリス人の脚本家が選んだパリのロケーション
成功要因の決定打はロケーション選びに尽きるでしょう。凱旋門にシャンゼリゼ通り、セーヌ河といった、わかりやすいイメージのパリの街並みが映し出されています。それだけでなく、場面を効果的に見せるための設計力に非常に長けています。
シーズン1の最も重要な導入のシーンでは、世界最大級のルーヴル美術館を舞台に視聴者の関心を最大限に引き寄せ、視聴者を最後まで引っ張っていく必要があるシーズン2の最大の見せ場では歴史と伝統のあるシャトレ座を使い、高揚感を高めています。このほかにも、ロマンチックなシーンではセーヌ河に架かる橋「ポンヌフ」を登場させ、レオス・カラックス監督のヒット恋愛映画『ポンヌフの恋人』(1991年)をオマージュ。お熱い雰囲気を膨らませています。
この巧みなロケーション選びはシナリオ段階で行われたシナリオ・ハンティングがカギとなっています。『Lupin/ルパン』の製作そのものは世界最古の映画制作会社で、フランス最大手のゴーモングループが手掛けていますが、実は脚本家はフランス人ではありません。イギリス人のジョージ・ケイです。サンドラ・オー主演のイギリス製作映画『キリング・イヴ/Killing Eve』やNetflixオリジナルの『クリミナル』など、国際感覚に優れた犯罪スリラーものが得意な脚本家を起用しています。
ただし、脚本家のケイはパリの街そのものについては熟知していなかったのです。そのため脚本に手をつける前にいろいろ巡った場所が脚本に落とし込まれているそうです。もしかしたら、パリに住んでいるフランス人だったら選ばないような場所もあったかもしれません。客観的な視点で選ばれたロケーションが効を奏したと言えます。意図せず、このコロナ禍で飛行機を飛ばしてパリの街までたどり着けない世界中の視聴者に旅行気分を味わわせ、そんなタイミングも味方につけたのです。
製作メンバーにはリュック・ベッソン監督の『レオン』や『フィフス・エレメント』に関わったスタッフもいます。ワールドヒットのノウハウを知る布陣をそろえて、確実に世界の視聴者を狙いにいく『Lupin/ルパン』は製作続行が決定しています。時期は未定ですが、シーズン3の配信まで、気長に待つファンも多いのではないでしょうか。
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