仏ドラマ「ルパン」世界最速ヒットした最大の理由 主演俳優は漫画「ルパン三世」のファンだった?

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変装のギミックは現代版も健在。オマール・シーは日本の『ルパン三世』も愛読していたという(写真:Netflix)

シーズン2の劇中にフランスのシンガーソングライター、ジャック・デュトロンが歌う『怪盗紳士ルパン(原題:Gentleman Cambrioleur)』が流れるのですが、その歌詞で描かれるルパン像もまさにドラマ『Lupin/ルパン』に通じるものがあります。

“その男は大泥棒で生粋の紳士。大切なものを奪うが、武器は使わない。女から盗んだ時は代わりに花を残す。その男は怪盗紳士。誇り高き人物”

ダークヒーローながら高い倫理観を持った愛されキャラクターを確立しているのです。

一方、「怪盗紳士ルパン」をオマージュした作品ですから、ジェームズ・ボンドのような派手なアクションは期待できません。巧みな知恵とユーモアあるトリックで盗みを働きます。さらに、イギリスBBCのドラマ『シャーロック』が世界でウケたように、現代版のアレンジにも成功しています。Uber Eatsの配達員に変装したり、人の声をデジタル化して合成技術を駆使したりと、現代風のトリックで、子どもから大人まで家族で楽しめる内容です。

シーズン1は28日間で全世界7000万世帯が再生

シーズン1は2021年1月8日に世界配信されると、リリース後28日間で全世界の7000万世帯が再生するという大ヒットを記録しました。日本でも好評だったアニャ・テイラー=ジョイ主演の『クイーンズ・ギャンビット』よりも初動再生数を上回り、発表情報から調べた限りでは非英語圏のNetflixオリジナルドラマとしては最速のヒット記録でしょう。これまで、スペイン発の『ペーパー・ハウス』やドイツ発の『ダーク』など非英語圏のヒット作とされるものは、おしなべて口コミで徐々に人気が広がっていったのですが、『Lupin/ルパン』はこの傾向を覆しました。

フランスをはじめブラジル、アルゼンチン、ドイツ、イタリア、スペイン、ポーランド、ベトナムなど世界数10カ国でリリース後28日間以内に「TOP10(総合)」で1位を獲得。さらに、世界で最もNetflix人口が多いアメリカでも同時期に2位をマークしました。その頃リリースされたアメリカドラマ界のレジェンド、ションダ・ライムズプロデュースによる『ブリジャートン家』と同等の反響を、非英語圏のNetflixオリジナルドラマが得たのは特筆すべきことです。

期待が高まるなか、配信されたシーズン2も出だしから高評価を得ています。アメリカの辛口映画レビューサイトで知られる「Rotten Tomatoes(ロッテン・トマト)」ではプロの批評家による満足度平均は95(6月15日現在)という高い数値。シーズン1の満足度平均98には届かずも、肯定的なレビューが並んでいます。

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