「真相報道バンキシャ!」に日本的革新を見た ”報道イノベーション”の背景に、4つの仕掛け

✎ 1〜 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「バンキシャ!」の視点や考え方は、企業で社員がイノベーションを起こすときに必要な思考として、とても参考になります。次の3つは、ハーバードなど、海外の経営大学院でもイノベーションを起こすための思考法として教えていることです。

1:多面的にとらえる
:常識を疑う
3:自分の目で確かめる

しかし、すばらしいアイデアが浮かんでも、それを受け入れる環境がなくてはいけません。先日、ハーバードビジネススクールを訪れ、イノベーション論を専門とするリンダ・ヒル教授にインタビューした際、次のようにおっしゃっていました。

「革新的な企業では、リーダー(管理職)が、イノベーションを歓迎し、社員が喜んで新しいことに挑戦できる環境や社風を作り上げている」

つまり、皆さんの働いている企業が停滞しているとするならば、それは、やはり管理職や経営者の責任なのです。ダメな企業ほど、上司が自分の意見を一方的に押し付け、部下にダメ出しをするそうです。イノベーションにはボトムアップで多様な意見を吸い上げることが不可欠なのですから、上司には部下の意見に「ノーと言わない勇気」も必要なのです。

「バンキシャ!」を立ち上げたチームには、新しい企画をどんどん出すメンバーと、イノベーションを支えたリーダーたちがいたのではないかと思います。

世界的にもフォーマットや制作方法が何十年も変わらないニュース番組に、進化を起こすのは、とても大変なことだからです。そしてこれこそ、「バンキシャ!」成功の4つめの秘訣と言っていいでしょう。

続編やリバイバルもいいですが、やはり革新的な番組を制作するのは、テレビマン、テレビウーマンの真骨頂。ネットに押されて、テレビは斜陽産業などと言われますが、ほかの産業界にも刺激になるようなイノベーションを、テレビ業界からどんどん起こしてほしいと願っています。

佐藤 智恵 作家・コンサルタント 

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

さとう ちえ / Chie Sato

1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして報道番組、音楽番組を制作。 2001年米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家/コンサルタントとして独立。主な著書に『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書)、『スタンフォードでいちばん人気の授業』(幻冬舎)、『ハーバード日本史教室』(中公新書ラクレ)、『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』(日経プレミアシリーズ)、最新刊は『コロナ後―ハーバード知日派10人が語る未来―』(新潮新書)。公式ウェブサイト

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事