ワクチン接種の恩恵を行き渡らせる為の政策提言

政府分科会メンバーらが需要喚起策を提案

今後、若い世代にも接種が進んでくる段階で直面する課題についても備えておく必要がある(写真:Buddhika Weerasinghe/Bloomberg)
新型コロナウイルスのワクチン接種がようやく日本でも進んできている。ただし、相変わらず問題は山積だ。
政府の分科会メンバーである大竹文雄・大阪大学感染症総合教育研究拠点特任教授、小林慶一郎・慶応義塾大学経済学部教授のほか、併せて8名の学識経験者の連名による政策提言「ワクチン接種の需要喚起についての政策提言」をお届けする。
(提言メンバーは以下の通り、50音順)
大竹文雄:大阪大学特任教授
小田原悠朗:東京大学特任研究員
栗野盛光:慶應義塾大学教授
小島武仁 : 東京大学教授
小林慶一郎:慶応義塾大学教授
野田俊也:ブリティッシュコロンビア大学助教授
室岡健志:大阪大学准教授
渡辺安虎:東京大学教授
※提言者は、本提言の内容に個人的に賛同するもので、所属する機関の見解を代表するものではありません

積極的に接種を希望しない層への勧奨

2021年6月現在、新型コロナウイルスのワクチン接種は、いくつかの課題を抱えつつも着実に進行している。目下、優先すべき課題は、供給と物流の制約を踏まえつつ、なるべく円滑に混乱なくワクチン接種を進めることだ。

しかしワクチン接種がより進んでいる諸外国の様子を観察すると、先々では2021年6月現在とはまったく性質の異なる問題が発生することが予想される。それは、積極的に接種を希望しない層に対する接種の勧奨である。

提言者らは医療の専門家ではないため、ワクチンの効果について一次的に評価する能力を有しないが、ワクチンには発症・重症化を防ぐ効果があると科学的に評価されている。このため、ワクチンの接種には医療機関の負担を軽減する効果が見込まれる。また、これまでになされてきた学術的な報告および接種が進んでいる国の状況を踏まえると、少なくともファイザー社・モデルナ社等のワクチンは感染予防効果を持つことが期待される。

ここで、医療機関の負担軽減効果・感染予防効果の恩恵を受けるのは接種した本人ではないことに注意されたい。このような状況では、ワクチンの接種を検討する本人の利益よりも、社会全体の利益は大きくなる。特に、もともと重症化リスクが低い若年層で、この差はより顕著になる。

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