日本の女性社長が令和でも「1割未満」に留まる訳 女性経営者の支援を行う横田響子氏に聞いた

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たとえば不況のときには女性が経営者の企業のほうが、倒産しにくい。リーマン・ショックのときも、アメリカでは女性経営者の企業のほうが男性経営者の企業よりも倒産する確率が低かった、というデータがありました。さらに、創業4年目を超えると、黒字の企業は女性経営者の比率のほうが高くなる。

背景には、女性の企業のほうが無駄な投資をしていないことに加え、これまでのしがらみにとらわれず、堅実な判断ができる傾向にあることが指摘できそうです。

たとえば、サキ・コーポレーションの創業者である秋山咲恵さんは、リーマン・ショックにより業績が悪化すると判明すると同時に、オフィスを駅ビルから町工場へと移すことを決断したと仰っていました。男女関係なく、秋山さんが優秀な経営者であるという要素もあるでしょうが、こうした堅実性は女性起業家の特徴です。

夜の会食に対する女性経営者の事情

――女性の起業家たちは、妊娠・出産や、女性が中心に担うことの多い育児、介護などのケア労働と経営とにどのように折り合いをつけているのでしょうか。

女性の就労率を語る用語として、「M字カーブ」というものがありますね。出産や子育てを機に退職をする女性が増える30代が底になって、20代と40代は上がる。

一方、個人事業主にはM字カーブがありません。みなさん、子どもを生んでも2週間や1カ月で仕事に復帰している。これは、良しあしがあって、つまり個人事業主の場合などは育休を取っても手当が支払われないから、復帰せざるをえないんですね。ですから、子どもを育てながら仕事をするのは当たり前のことです。

代表者のメリットといえるのは、自分で仕事のペースやルールを決められること。子連れ出勤を提唱している方もいれば、会社の中に保育所を作ってしまったところもある。

ただ、男性よりも女性のほうが、家事労働の負担が重いのは経営者でも変わりません。したがって、夜の会食に誘われると大変だ、という声はよく聞きます。

ある女性社長の場合は、親から会社を継いだこともあって古い取引先との会合に顔を出していたそうです。ただ、ご飯を用意して、お子さんに食事をさせてからバタバタとでかけていくので、開始時間に遅れてしまい、相手から怒られたことがあったとか。

ただ、最近は夜の会食を断れる雰囲気に、段々となってきました。前述の女性社長も、最近では会食なしでも仕事は進むことがわかって、よっぽど重要なもの、自分が行きたいものに絞って、あとは子どもがいることを理由に断れるようになった、と語っていました。

今は、子どもがいる女性のみならず、若い世代も会食文化にノーを突きつけ始めている。会食がすべて悪いとは言いませんが、重要な意思決定がされる際、こうした場が機能する余地がない、ビジネスのネットワークの透明化が求められるということでしょう。

『週刊東洋経済』6月12日号の特集は「これが世界のビジネス常識 会社とジェンダー」です。東洋経済では、あなたの身の回りのジェンダー問題についての情報提供を募集しております。「会社でこんな女性差別的待遇を受けた」「男性育休を推奨しているが、休業中にも業務メールが絶えない」など、お心当たりのある方は、以下の投稿フォームまでご意見をお寄せください。https://form.toyokeizai.net/enquete/tko2104b/
印南 志帆 東洋経済 記者

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いんなみ しほ / Shiho Innami

早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者、東洋経済オンライン編集部、電機、ゲーム業界担当記者などを経て、現在は『週刊東洋経済』や東洋経済オンラインの編集を担当。過去に手がけた特集に「会社とジェンダー」「ソニー 掛け算の経営」「EV産業革命」などがある。保育・介護業界の担当記者。大学時代に日本古代史を研究していたことから歴史は大好物。1児の親。

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