日本の女性社長が令和でも「1割未満」に留まる訳 女性経営者の支援を行う横田響子氏に聞いた

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ここで社外取締役をあえて挙げたのは、いくら企業内で女性を昇格させていくことが重要だからといって、適任者がいないからといって課長の女性をいきなり取締役にするわけにはいかないからです。そこでまずは、女性起業家など、すでに経営の経験がある女性を社外取締役として招くという選択肢があります。大企業を経験したあとに起業した女性もいますから、企業にとっても、彼女たちとの親和性は低くないはずです。

すでに、大企業を経験し、自分でも起業をし、かつ社外取締役も務めている――そんな女性がちらほらと出始めています。

企業とのマッチング支援が必要

――男性と女性の起業家とで、事業領域に違いはありますか?

女性の場合、消費者向けのサービスを展開しているケースが多い。最近なら、(女性が抱える健康問題をテクノロジーで解決できる製品やサービスを指す)フェムテックのスタートアップで女性社長はどんどん増えています。それから、マーケティングやコンサルティングといった、起業にあたっての資金が少なくて済むもの。保育園や介護関連なども、男性に比べると女性が起業するケースが多いようです。

女性独自の観点が生かされる消費者向けの事業が多い一方で、それは課題でもあります。一般的に、BtoCとBtoBを組み合わせたほうが、経営の安定性は高まりますよね。女性の起業家の中には組織で働いたことがない人も少なくないため、BtoB、対企業の事業を展開する、というアイデアがなかなか生まれない。

政策として女性起業家を支援するのであれば、起業そもそもの支援をするだけではなく、まさにこの部分――企業とのマッチング支援に力を入れるべきです。

――起業後の収益基盤作りに、女性の起業のボトルネックがあるということですね。

そう。そもそも、従前の女性の起業は、主に人脈と資金においてアドバンテージがないため、男性の起業よりも廃業率が高いのが現実です。また資金調達面も、以前よりはハードルが低くなったとはいえ、“マッチョ系”の組織だけを経験した男性のベンチャーキャピタリストが審査をするのであれば、不利な部分もある。アメリカなどでは、男性のVCによる女性起業家に対するセクハラが問題になっています。女性のVCがもっと増えることを期待します。

一方、事業が一度立ち上がりさえすれば、女性のほうが経営の安定性は高いという調査結果も出ています。

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