エン・ジャパンが行った「転勤」についてのアンケートによると、転勤は退職を考えるきっかけになるとの回答が6割超にものぼりました。
「本社から地方の支店に転勤」「支社から別の支社に転勤」などさまざまなケースがありますが、会社から命じられたら社員は拒否できるものではない……というのがこれまでの多くの日本企業における独特の“風習”でした。
多くの場合、1カ月ほど前に転勤の内示があって、数週間前に正式な辞令が出るのが一般的です。ただ金融機関など、1週間程度で転勤を強いられる慣習がある業界もあります。
ところが近年、転勤を拒否して辞める社員が徐々に増加し、制度としての問題点があらわになってきています。
先ほどの調査では、若手になるほど反発が大きいようです。「転勤なしという触れ込みで入社したにもかかわらず、転勤の辞令が出た」「親の介護で自宅から通えないと厳しいと人事部に伝えていたのに、地方転勤をすることになった」など、退職しても仕方ない状況に追い込まれる人は少なくありません。
近年、各企業の人事部の方から、転勤が原因で退職する社員が増えないように苦慮しているとの話をよく聞きます。ただ、転勤自体はゼロにはなりません。全国に拠点がある会社は人材を配置して運営せねばなりませんし、社員個人の適性と能力を活かす、適材適所を考えるという点でも、転勤自体すべてなくすべきとも言い切れません。
いったい会社と社員はどのように折り合いをつければいいでしょうか。
転勤したくない社員たち
いまの職場に不満があって、環境を変えるため転勤や異動をしたい人も中にはいます。嫌な上司と離れたい、激務の職場に嫌気がさしたなど、理由はさまざまです。しかし、それは多数派ではありません。各種調査を眺めていくと、6~7割の人が転勤したくないと考えているようです。
会社側もある程度はそれをわかっていて、家賃補助が出るとか、昇進・昇給につながるとか、単身赴任手当があるなど、そうしたメリットを示してきました。多くの人はその条件と引き換えに、転勤を承諾してきたのです。
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