足の専門医が警鐘「歩かないと足の血が逆流する」 むくみ、だるさ、冷えを感じたら早めのケアを
ふくらはぎが「第2の心臓」と呼ばれていることはよく知られていても、ふくらはぎの運動不足がさまざまなトラブルを招くことをご存じの方はまだ多くありません。さらに、静脈には弁があり、それが壊れることで下肢静脈りゅうが起こることは、医師に言われてはじめて知る方が多いようです。
私はこれまでに1万人以上の下肢静脈りゅうの手術を経験しました。けっして珍しい病気ではありません。15歳以上の日本人の43%がかかっているという報告もあります。
不可逆的に進行する病気ですから、当然、年齢が上がるほど発症率は上がります。30~49歳では55%、50~69歳では61%、79歳以上では75%と4人に3人という高率になっています。高齢のご家族がいらっしゃったら、この機会に足の状態を確認し、早めのケアをおすすめしていただけたらと思います。
歩くことで、足の血液が心臓に戻る
運動不足、とくに「歩かない」ことが、足の健康にどんな影響を及ぼすのでしょうか。ふくらはぎを収縮・拡張させる運動が足りないと、足の血液を心臓に送り出すポンプ作用が十分に働かず、足に血液がたまりがちになります。
たまった血液は足の組織にしみ出して、足がむくみます。血行が悪くなると、老廃物がたまり、足がだるくなります。筋肉を動かさないと熱の発生が足りなくなり、血行が悪いと十分な血液で熱を運ぶことができなくなります。
足に血液がたまった状態が続くと、やがて静脈の弁が壊れ始めます。弁が壊れると、血液が逆流を始め、静脈が膨れ上がり、下肢静脈りゅうを発症してしまいます。
そうなる前に、むくみ、だるさ、冷えを感じたら、しっかりケアしましょう。これが「足の健康」を保つための第一歩です。
足のむくみ、だるさ、冷えを防いだり、改善したりするためには、足の血行をよくするのが大切です。ふくらはぎを動かして、足の血液を心臓に戻してあげるようにしましょう。
ムリなく足の運動をするには、1日8000歩の散歩がベストです。散歩の時間が取れない人は、通勤・通学時にいつもより多く歩くようにしましょう。
長時間の立ちっぱなし、座りっぱなしを避け、30分ごとに足の運動をするようにしましょう。かかとを上げ下げする「かかと上げ体操」を少し繰り返すだけでも効果があります。
運動や立ち仕事・座り仕事で足がつかれたら、入浴後などに足をマッサージして血行をよくしましょう。足先から太ももに向かって3~5回ほど軽くもむ程度で十分です。
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