「肺活」が今、何より重要だといえる医学的理由

肺の衰えはがん、うつ、認知症の一因にもなる

肺機能が衰えることにより、自律神経や心身のパフォーマンスへの影響も(写真:buritora/PIXTA)
自律神経研究の第一人者・小林弘幸医師。自律神経の重要性を一般に広めてきた小林氏は、日本人が今もっともケアしなければならない体の部位は「肺」だと警鐘を鳴らしています。
肺機能が衰えることによる自律神経や心身のパフォーマンスへの影響を「呼吸器研究」「循環器研究」「自律神経学」の視点から紐解いている『最高の体調を引き出す 超肺活』より一部抜粋、再編集。「今、肺トレーニングが必要とされる理由」をお伝えします。

エクモが教えてくれる「肺」の重要性

新型コロナウイルス感染症(COVID19)の流行によって、ECMO(エクモ)の存在が一般にも広く知られるようになりました。エクモのメカニズムを知ると、私たちの肺が普段どんな働きをしているのかよくわかります。

エクモによる治療は、まず太ももの付け根の静脈にカニューレという太い管を挿入したあと、血液を体の外に取り出し、ポンプによって人工肺に血液を送ります。ここまでの血液は二酸化炭素を含んでいるため「暗い赤色」をしています。人工肺に送られた血液は、酸素と二酸化炭素の「ガス交換」が行われ、カニューレを通して首の血管に戻されます。このときの血液は、酸素を含んでいるため「鮮やかな赤色」をしています。

このようにして、エクモは肺の機能を代理で行い、その間に肺の回復を待ち、通常の治療ではただちに絶命してしまいかねない患者の命を救っているのです。

私が外科研修医時代、エクモの勉強でもっとも驚いたのが、含まれているガスが二酸化炭素か酸素かによって変わる「血液の色」についてでした。

二酸化炭素を含んだ濁った血液が、人工肺を通過すると鮮やかで健康的な色に生まれ変わるさまを見て、「肺」がいかに健康状態に大きな影響を与えるかを思い知りました。そして、知識としてはもちろん知っていましたが、「酸素は血液に乗って全身に運ばれていく」ということを、エクモを目の当たりにして痛感したのです。

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