「肺活」が今、何より重要だといえる医学的理由 肺の衰えはがん、うつ、認知症の一因にもなる

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

肺が担っているもっとも重要な役割は、「呼吸(ガス交換)」です。
酸素と二酸化炭素のガス交換は、肺の中に張り巡らされた気管支の先端にある、「肺胞(はいほう)」と呼ばれる部位で行われています。肺胞の大きさはわずか0.1ミリ程度で、およそ3億から6億個あるといわれています。

肺胞には、毛細血管が網の目のように取り巻いています。息を吸うと、酸素は3億から6億個ある肺胞の中に入り、毛細血管内の血液に溶け込んでいきます。血液は心臓に送られ、心臓から動脈を経由して全身の毛細血管に送られ、およそ1分かけて心臓に戻ってきます。心臓に戻ってきた血液は、肺胞に戻され、また酸素と二酸化炭素がガス交換されて、二酸化炭素は口から吐き出されていくわけです。

新型コロナウイルス感染症の重症患者が、脳梗塞などの「血管系の病気」になることに疑問を抱いた人もいるでしょう。肺の機能は、心臓や血液循環とも密接に関わっているため、呼吸の質によって全身の健康状態は大きく左右されるのです。

肺機能の低下が、心身を不健康にする

さて、肺機能が弱まり、肺胞から酸素を十分に取り込めないと、全身の細胞が酸素不足に陥ります。全身に張り巡らされた毛細血管まで酸素が行き渡らないため、ダルさや慢性疲労を引き起こし、酸欠状態になった細胞はがん化の原因にもなります。

また、脳に十分な酸素が届かないと、集中力が減退したり、うつなどのメンタルトラブルや認知症の一因にもなります。最近、集中力が足りないと感じている人は、肺が衰えて、必要な酸素を取り込めていないという可能性が考えられます。

さらに、肺胞から十分に酸素を取り込めないと、血中の酸素濃度が下がり、足りない酸素を補うために呼吸の回数が増え、浅い呼吸になってしまいます。浅い呼吸は、自律神経のバランスを崩す原因です。

自律神経のバランスが崩れると、血流や腸内環境にも不具合が生じ、血管や内臓の疾患を引き起こしたり、腸におよそ7割生息している免疫細胞の働きを悪くします。
その結果、全身の免疫力が低下する危険性があります。

つまり、ウイルスや病気に負けない強い体をつくるには、諸悪の根源である「肺の劣化」を防ぐことが絶対に必要なのです。

肺の機能の衰えは、自覚しにくいものです。しかし、20代から加齢とともに誰でも肺は衰え、40代になると急速に機能低下が進行することがあります。食生活や生活習慣に気を使っているのに心身がベストではない人は、肺機能の衰えを疑ってみる必要があるでしょう。

次ページ「肺活トレーニング」の仕組み
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事