動き始めた海外留学「元どおり」への想定シナリオ カナダへの派遣留学再開に踏み切った高校も
そしてついに、56人の学生が4月5日と7日の2便に分かれて出発、伊丹空港から羽田、バンクーバー経由でトロントに到着しました。到着後2週間のホテル滞在の後、各自現地の高校に移動して留学生活を開始しています。
残念ながら、4月15日から現地で緊急事態宣言が発出されたため、5月25日現在まではオンライン授業を現地の高校生に交じって受けているということです。
現地にいる学生のアンケートの結果は、満足度の高いものとなっています。留学全般に対する満足度の結果では、満足している学生が76%(非常に満足26%、まあまあ満足50%)、どちらでもない14%、まあまあ不満10%という、対面授業が始まっていない状況を考えると、不満を感じる学生が少ないのは驚きです。
これは、オリエンテーションなどを通じて情報開示を細やかに行い、留学の実現に向けてスタッフの方が一丸となって動いたことで学生や保護者からの信頼感を得ているからではないかと推察できます。
またこれまで乗り越えてきた経験値から、学生は精神的にもタフに成長したようにも感じます。立命館宇治のカナダ派遣に至る経緯を見ていくと、まさに一大プロジェクトとも言える内容でした。
「派遣留学」再開のシナリオ
今後の派遣留学再開のシナリオとして筆者は次のように考えます。
・国を限定しての部分的な派遣再開、具体的にはアメリカ。イギリスの秋学期の派遣からスタートする(その他、カナダ・韓国あたりも候補)。
・オーストラリア・ニュージーランドの入国制限緩和のタイミングがターニングポイントに。
・日本でも「ワクチンパスポート」が導入されれば、留学は加速する。
・ただ、完全復活にはまだ時間がかかりそう。オンライン留学も進化しておりその効果も出てきていることから、オンライン留学との併用は今後も継続する。
(オンライン留学の教育的効果については次回記事で紹介予定)
現状では、多くの教育機関は派遣に関して「中止」の判断を継続しています。第一に学生の安全性を確保したいという学校側の考えは理解できるものです。
ただ、前述の文部科学省の「留学を予定・考えていた日本人学生の皆さんへ(11月2日更新)」では、外務省の感染症危機情報のレベル2の国への渡航の判断は、あくまで学校に委ねられています。
渡航するなとは言われていないのです。
高校・大学の持っている現地とのネットワークや危機管理能力、そして学校・参加者双方の「覚悟」が海外派遣再開を左右すると筆者は考えます。
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