動き始めた海外留学「元どおり」への想定シナリオ カナダへの派遣留学再開に踏み切った高校も

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ただし課題点もあるようです。

「個人留学であっても日本の大学に籍を置き、休学して留学する方の場合、日本の大学が休学を許可しないケースも多く、大学生の長期留学の相談は増えてはきているがコロナ前には戻っていない。

その反面、高校を卒業して海外の大学に正規留学する人たちは、日本にいてもオンライン授業なので、たとえ留学先の授業がハイブリッド型になっても現地に行く意義があると考えて渡航する人が増えている印象です」

やはり日本の大学や高校の派遣留学に対する判断が、渡航型の留学復活のカギを握っていると言えそうです。そんな中、派遣留学に踏み切る学校も出てきました。

京都の高校から56人がカナダ長期留学に出発

4月初旬に立命館宇治高等学校(京都府宇治市)IMコースの学生56人がカナダ・オンタリオ州に向けて出発しました。

カナダ派遣留学再開への道のりはどのようなものだったのか、IM教育部部長の川本健太郎氏に話を聞きました。

同コースでは、カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの提携校への1年間の留学を必須としていました。しかし、コロナの影響で派遣は中止となり、学生がさまざまな学びや経験の機会を失ったことを考えると「非常に苦しい1年間だった」と川本氏は言います。

その間、留学ができない場合に備えてのカリキュラムの想定や、オンラインレッスン、繰り返し実施していた留学オリエンテーション(合計14回実施)、派遣留学への模索などさまざまな可能性を探りつつ、保護者や本人からの留学に対する強い要望を受け止めていたようです。

同コースは、前身のコースを含めると2000年以降、これまで累計900人以上の留学生を各国に派遣をしてきました。これまでの実績から学生や保護者からの留学に対する期待感も、ひときわ大きいものであったと想像できます。

そんな中、昨年10月20日からカナダは留学生に対する入国制限が一部緩和されたため、今春4月5日の出発を目標として、現地教育委員会、留学エージェント、ビザ代行会社などと連携して準備を再開。渡航するかを決める協議では、想定されるリスクに対するさまざまなシミュレーションが行われたといいます。

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