イスラエル、なぜいま「12年ぶりの政権交代」か 汚職問題などでネタニヤフ首相がついに退陣へ
イスラエル政治の顔として連続12年、通算15年にわたって首相を務めてきたベンヤミン・ネタニヤフ氏が退陣する見通しとなった。
ネタニヤフ首相の汚職疑惑もあり、この2年間で4回の総選挙(国会定数120)が行われるなどイスラエル政局は混迷を極めてきた。今回、ネタニヤフ首相の続投に反対するという一点で、政策では共通点が少ない8つの政党が結束した。
左派や中道、極右のほか、イスラエル建国史上初めてアラブ系(パレスチナ人)政党が連立政権に参画。今後の政治運営では、政策の違いが露呈して短命政権に終わるとの予想もある。
反ネタニヤフ陣営が構築された理由
最長4年の任期となる首相は、極右政党ヤミナ党首のベネット前国防相が最初の2年間を、その後は中道政党イェシュアティドのラピド元財務相が務める「輪番制」で合意した。ベネット氏は、「パレスチナ国家の創設はイスラエルにとって自殺行為」と述べるなど、タカ派のネタニヤフ氏よりも右派色が強く、引き続いてパレスチナ問題の停滞は必至だ。
核兵器開発疑惑があるイランに対しても強硬論者。ただ、左派政党や親パレスチナのアラブ系政党と組むことで、経済問題など国政重視の姿勢が強まり、イスラエルの対外的な政策が大きく動くことはなさそうだ。
「ネタニヤフ氏に断固反対する右派が退陣に追い込む形になった」。エルサレムにあるヘブライ大学のノーム・ギドロン准教授はツイッターで、タカ派のネタニヤフ氏に反対する左派に加えて、右派の間でも同氏の汚職疑惑や国民の分断を煽るような政治手法への反発が強まり、退陣を余儀なくされることになったとの見方を示した。
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