2024年、「医師不足」時代が本格的にやってくる 医師の働き方改革に合致した病床再編が必要

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今般の通常国会で、改正医療法案(その中には、前述した医師の時間外労働規制を担保する条文も盛り込まれた)が審議された際、野党は地域医療構想に基づく病床機能の分化と再編をコロナ禍で病床が逼迫する中での病床削減と捉え、反対した。改正医療法は、この5月21日に可決成立した。

新型コロナに対応した病床は、感染第3波のときでも急性期病床のうち、わずか3.4%にすぎない。病床を減らしたから病床が逼迫したのではない。病床はまだあるのに、感染症対応に不向きな病床が多く、対応できていないという点こそが課題なのである。

医師の時間外規制とあわせて病床再編も

地域医療構想を目の敵にして時間を弄している間に、医師の時間外労働の上限規制にあわせて病床再編を行わなければならない状況になりつつある。

地域医療構想が示唆する病床再編を拒んで病床を温存できても、医師を確保できなければ、温存した病床で患者は受け入れられない。もちろん、温存した病床で無理に入院患者を受け入れようとして、不必要に医師を確保すべきではない。

将来見込まれる入院医療の需要に対して、病床は過剰であっても不足があってもいけない。地域ごとに医療需要を見極めながら、医師の労働時間をどれだけ確保する必要があるかを見計らい、医師の過労を防ぎ、必要な入院患者を受け入れられるようにすることが求められる。

当分の間は、年1860時間という時間外労働の上限規制の緩和が認められている。ただ、それが常態化しないように、医師の健康確保のために、労働時間の短縮が必要である。そして、その医師の働き方に合致した病床の再編も必要である。2024年度まで残された時間は少ない。

土居 丈朗 慶應義塾大学 経済学部教授

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どい・たけろう / Takero Doi

1970年生。大阪大学卒業、東京大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京大学社会科学研究所助手、慶應義塾大学助教授等を経て、2009年4月から現職。行政改革推進会議議員、税制調査会委員、財政制度等審議会委員、国税審議会委員、東京都税制調査会委員等を務める。主著に『地方債改革の経済学』(日本経済新聞出版社。日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞受賞)、『入門財政学』(日本評論社)、『入門公共経済学(第2版)』(日本評論社)等。

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