2024年、「医師不足」時代が本格的にやってくる 医師の働き方改革に合致した病床再編が必要

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同検討会では、医師の長時間勤務の要因としていくつもの要因が挙げられた。救急搬送を含めて診療時間外に診療が必要な患者がいること、所定の勤務時間内に対応しきれない長時間の手術、外来の患者数の多さ、医師はそれらに対応しなければならないとする応召義務の存在、医師から他職種へのタスク・シフティング(業務の移管)が十分に進んでいない現場の勤務環境などだ。

医師の労働時間を短縮するには、タスク・シフティングなど医療機関内のマネジメント改革のほか、地域医療提供体制における機能分化・連携、プライマリー・ケアの充実、医師偏在対策の推進などを徹底する必要がある。このうち、地域医療提供体制における機能分化・連携は、地域医療構想と連動した取り組みも重要になる。

コロナで医療崩壊しかねない日本の医療の弱点」で詳述したように、地域医療構想は地域(二次医療圏など)ごとに2025年の入院医療需要を推計し、2025年に目指すべき病床の必要量などを病床機能ごとに推計し、病床の機能分化・連携を進めている。

時間外労働の原則は年960時間以下に

ちなみに、同検討会では、医師の長時間勤務の要因として、患者側の都合で診療時間外に対応せざるをえない点も挙げられており、上手な医療のかかり方の周知も必要であると指摘している。

2019年3月に同検討会が取りまとめた報告書は、2024年度から適用される医師の時間外労働の上限規制について、次のように打ち出した。通常の時間外労働(休日労働を含まない)は、一般と同じく月45時間以下・年360時間以下としつつ、臨時的な必要がある場合(休日労働を含む)は、原則月100時間未満・年960時間以下とした。

ただし、救急医療など地域医療を支える医療機関で勤務する医師や、研修医など多くの技能を集中的に体得する必要がある医師は、年1860時間以下と上限が緩和される。その代わり、病院長など医療機関の管理者には、28時間までの連続勤務時間制限や9時間以上の勤務間インターバル、代償休息などの追加的健康確保措置を講じることが義務づけられる。

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