「声の大きな上司」に空気を支配されない方法とは 米海軍で屈指の元潜水艦艦長が教える忖度対策

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グループ全体の空気や、立場がいちばん上の人間が影響力を発揮する前に、メンバー各自が意見を発表する機会を与えるのだ。一人ひとりの思いを潰さないようにすれば、多種多様な考えが最大限集まる。

そうして生み出された成果は「集団の英智」だ。条件が整っていれば、グループとしての見解は、そのグループに属するどの一個人のそれよりもつねに優る。このことは、ジェームズ・スロウィッキーの名著『群衆の智慧』に詳しい。

集団で議論を始める前にその場にいる人々に個々に意見を表明してもらうやり方はいくつかある。

意見表明の方法① 無記名での電子投票

ひとつは、無記名で行う電子投票。人数が多い、あるいはグループの心理的安全性が低いかどうかはっきりしない場合は、無記名で電子投票を行うといい。この方法なら、社会や組織の上層部から圧力を受けることなく自分の思いを表明できるし、人の選別なしに大勢から意見を集められる。

ただし、投票結果は発表してはいけない。発表すると、時期尚早に結論が固まる恐れがある。さまざまな反応を得られても、投票結果を明らかにしたとたん、それと同じ意見になる人が増えることはよくある。無記名の投票であっても関係ない。集団に同調したいという欲求は、それほどまでに強力なのだ。

尋ねるときは、「どのくらい」という言葉を使おう

意見表明の方法② 二択でなく程度を尋ねる

次に、二択ではなく程度を尋ねるという方法もある。「それは安全か?」や「それでうまくいくのか?」など「はい/いいえ」でしか答えられない質問ではなく、「どのくらい安全だ?」や「どの程度うまくいくと思っている?」という尋ね方をするのだ。そうすれば、尋ねられたほうは、「起こる/起こらない」の二択ではなく、その先に起こることについてさまざまな想定を巡らせることになる。

つまり、尋ねるときは「どのくらい」という言葉を使うということだ。感情や評価に関する質問はもちろん、何かを描写させたいときなど、ほぼどんな質問にも適用しようと思えばできる。

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