「声の大きな上司」に空気を支配されない方法とは 米海軍で屈指の元潜水艦艦長が教える忖度対策

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私がここで用いる「強要」という言葉は、影響力や権力や肩書きを使う、最初に口火を切る、ほかの人より多く話す、ほかの人より大きな声で話すなどして、自分の考えに周囲を同調させることを意味する。

上司による「全員を参加させろ」や「意見をまとめろ」といった言葉は強要だ。それらを通じて、「私が正しいのだから考えを改めなさい」と説得を試みているにすぎない。

だが、チームに属する人々の考えを変えさせる必要はない。メンバーが、会議で決まったことをチームの一員として支持する、という態度である限り、個々が違う意見を持っていてもまったく問題ない。素晴らしい力やレジリエンスは、多様なアイデアのなかに潜んでいる。

そこで私は、産業革命期から続く「強要」というプレーをやめ、「連携をとる」というプレーをすることを提案したい。「連携をとる」プレーの目的は、視野を広げ、バリエーションを歓迎し、グループ内に存在するさまざまな知識、思い、アイデアを可視化することにある。

「連携をとる」ための4つの方法

「連携をとる」というプレーには、次の4つの方法がある。

1.投票をしてから議論をする
2.自分の考えを押しつけず、周囲の考えに関心を持つ
3.合意を推し進めず異論を歓迎する
4.指示ではなく情報を与える

今回は、このうち、1の「投票をしてから議論をする」について詳しく取り上げよう。

産業革命時代のように、議論してから投票、というやり方をとると、決断を下す前の意見のバリエーションが減ってしまう。こうして下された決断は、「声の大きい人々の英智」と呼んで差し支えないだろう。

沈没してしまった貨物船「エルファロ」で行われていたのが、まさにこれで、船長が決定して、それを周囲が知るというやり方だ。しかしより良い決断を下すには、異なる意見を集めることから始める必要がある。

次ページ「集団の英智」は「声の大きい人々の英智」に優る
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