北の湖も輩出「相撲王国・北海道」が凋落した理由 道産子力士の幕内優勝は1991年の北勝海が最後

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ところが、近年は幕内上位で活躍する力士が出てこない。道産子力士の幕内優勝は、1991年の北勝海が最後である。つまり20年間、優勝から遠ざかっているわけだ。 

平成の初期、北海道出身力士は輝いていた。横綱だけでも千代の富士、北勝海、大乃国と3人揃い、大関には北天佑(室蘭市)がいた。その後は幕内力士さえなかなか登場しない状況が続いた。

2018年の5月場所に旭大星(旭川市)が新入幕を果たし、「26年ぶりの北海道出身力士の新入幕」と大きな話題となった。結局幕内は4場所のみで現在は十両生活。もうひとりの十両力士・ 一山本(岩内町)は学生相撲出身で、北海道福島町役場職員から力士になったことで話題となった。

5月場所は一山本・旭大星共に勝ち越し、来場所は入幕を狙える番付となりそうだ。

とはいえ、5月場所の時点で、北海道勢の関取はこの2人だけである。かつての「相撲王国」としては寂しい限りである。

低迷の背景に北海道の〝地盤沈下〟

一世を風靡した「相撲王国」が凋落した原因はどこにあるのだろうか。これ!という決定的な要因を上げるのは難しいが、いろんな方に話を聞くと「北海道の“地盤沈下”」を理由に挙げる声が多く聞かれた。

実際、北海道では人口減少、過疎化、少子高齢化などが顕著だ。1989年に約565万人だった人口は、2021年は約521万人になり、8%弱減少した。ちなみに日本の総人口はこの間、2.5%増えている(2021年の総人口は推計値)。

道内人口が減少するなかで「札幌一極集中」が進んだ結果、道内に179ある自治体のうち148市町村が過疎地域市町村として公示されるという現象が生じている。

2020年の高齢化率は31.46%と全国平均の27.91%を3.5ポイントも上回り、15歳未満の年少人口は10.86%で全国平均の12.21%を下回っている。子どもの数が減り続けているのだ。

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