松岡騎手インタビューに続いて、HKJCにコロナ禍下での国際競走に際して香港特別行政区政府とどのような連携をとり、そのためにどのような態勢を敷いたのか、メディア対策の成否も含め取材を依頼したが、東京五輪とHKJC国際招待競走は事情が大きく異なり、論評する立場にない、ということだった。東京五輪への批判的な発信は避けたいとの意思が働いたのかもしれない。
しかし、HKJCの徹底した防疫態勢には舌を巻かざるをえない。2回の国際招待競走に挑戦したのは世界でも日本だけ。防疫の対象になったのは11頭、出走馬関係者約20人と極めて限定されていたからこそできたことかもしれないが、地元香港人との接触を極力避けさせ、外出も一切禁止。それも徹底した監視態勢をとった。そのために動員した人員は通常の国際招待競走を大幅に上回るだろう。
メディア対応も徹底していた
そして、特筆すべきはメディア対応である。HKJCは世界の競馬統括機関の中でもメディアを最も優遇し、年2回の国際招待競走には日本、欧米、大洋州などから大挙して取材に訪れるメディア関係者を招待して発信を強化してきた。そのHKJCが直近の2回の国際招待競走には門前払いを食らわせたのである。コロナ禍の中、いまだに世界の競馬メディアが押し寄せる国際レースも開かれている中、これは異例の取り組みだ。
約20人の出走馬関係者の管理に水も漏らさぬも監視態勢を構築するために貴重な人手を割かれてしまえば、例年は大型バス2台を満員にしてしまうほど多いメディア関係者へ同様の監視態勢を組むことなどできない、と苦渋の判断をせざるをえなかったことがうかがわれる。
翻って日本――。開幕まで2カ月を切った今でも各国選手団、関係者に対して、どのような規制をかけるのか全く青写真が見えてこない。国内観客ですらどうするか決められない政府、組織委員会には荷が重すぎるのだろう。また、選手団と同じく大挙して来日するメディアを合わせれば五輪来日者は5万とも10万ともいわれる。これだけ大量の来日者に対してHKJCが実施したような水も漏らさぬ防疫態勢をとることは果たして可能なのだろうか?
五輪組織委員会は今からでも遅くない。HKJCのような有効な防疫態勢が構築できるのかどうか、広く世界に向けて説明するべきではないか。それもなしに五輪を強行するのは、あまりに無責任というほかない。
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