「攻めのリハビリ」とは何か?
乙武 洋匡(以下、乙武):今回は脳リハビリテーション医師で、ねりま健育会病院・院長の酒向正春院長と対談します。実は酒向院長とは、息子さんが通われていた小学校で私が講演を行ったのをきっかけに、2013年からお付き合いをさせていただいているんですよね。
酒向 正春(以下:酒向):そうですね、「乙武さんが来た」と息子がとても喜んでいたのを覚えています(笑)。
乙武:一般の方からするとまず、脳リハビリテーション医(以下、脳リハ医)というのがどういう医者なのか、疑問を持たれるかと思います。院長から簡単にご説明いただいてもいいでしょうか。
酒向:私のこれまでのキャリアは、脳を専門にしていた時期とリハビリテーションを専門にしていた時期が、ちょうど半々を占めています。脳機能の治療に関しては、脳外科的治療や手術以外の治療も行っており、認知症治療の専門家でもあります。一方、リハビリテーション医は身体の正常な機能を復活させる医療です。
後者のリハビリテーション医学はもともと、戦時中に負傷して動けなくなった人を回復させるために生まれた分野ですが、この超高齢化社会においては体だけが元気になっても十分ではなく、加齢によって衰えた脳の機能を併せて回復させる必要があります。そこで脳科学とリハビリテーション、双方の専門知識を駆使して治療や回復にあたるのが、脳リハ医の役割ということになります。
乙武:ありがとうございます。そんな酒向院長は、「攻めのリハビリ」を提唱し、これまで多くのメディアで話題になりました。非常にキャッチーな言葉ですが、具体的にはどのような意味ですか。
酒向:「攻めのリハビリ」とは端的に言うと、“人間力”を回復させること。そして、そのためのポイントが3つあります。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら