75人クラスター発生の病院が味わった超過酷事態 当初は3人から始まり、いかにして広がったか

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「攻めのリハビリ」を掲げる、ねりま健育会病院の酒向正春院長(右)が明かす大規模クラスターの実態とは?
いまだ感染拡大が止まらない新型コロナウイルス感染症。ワクチン接種など明るい兆しも見えつつあるが、まだまだ予断の許さない状況が続いている。新規感染者数を増やしている要因としては、やはり大規模クラスターの発生が挙げられる。昨年からニュースでも繰り返し目にするようになった「クラスター」という言葉だが、その実態がどういったものか、私たちには理解しがたいものがある。
昨年、75人の大規模クラスターが発生した「ねりま健育会病院」の酒向正春院長は、「戦争のようだった」と振り返る。当時のことを使命感を持って伝えたいとの思いから、旧知の間柄である乙武洋匡に、その思いを語り始めた。

「攻めのリハビリ」とは何か?

乙武 洋匡(以下、乙武):今回は脳リハビリテーション医師で、ねりま健育会病院・院長の酒向正春院長と対談します。実は酒向院長とは、息子さんが通われていた小学校で私が講演を行ったのをきっかけに、2013年からお付き合いをさせていただいているんですよね。

酒向 正春(以下:酒向):そうですね、「乙武さんが来た」と息子がとても喜んでいたのを覚えています(笑)。

乙武:一般の方からするとまず、脳リハビリテーション医(以下、脳リハ医)というのがどういう医者なのか、疑問を持たれるかと思います。院長から簡単にご説明いただいてもいいでしょうか。

酒向:私のこれまでのキャリアは、脳を専門にしていた時期とリハビリテーションを専門にしていた時期が、ちょうど半々を占めています。脳機能の治療に関しては、脳外科的治療や手術以外の治療も行っており、認知症治療の専門家でもあります。一方、リハビリテーション医は身体の正常な機能を復活させる医療です。

後者のリハビリテーション医学はもともと、戦時中に負傷して動けなくなった人を回復させるために生まれた分野ですが、この超高齢化社会においては体だけが元気になっても十分ではなく、加齢によって衰えた脳の機能を併せて回復させる必要があります。そこで脳科学とリハビリテーション、双方の専門知識を駆使して治療や回復にあたるのが、脳リハ医の役割ということになります。

乙武:ありがとうございます。そんな酒向院長は、「攻めのリハビリ」を提唱し、これまで多くのメディアで話題になりました。非常にキャッチーな言葉ですが、具体的にはどのような意味ですか。

酒向:「攻めのリハビリ」とは端的に言うと、“人間力”を回復させること。そして、そのためのポイントが3つあります。

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