――同じフロアーの調教助手さん、厩務員さんと一緒に食べちゃいけない?
松岡:そうなんです。隣室の日本人とも会ってもいけない。用事があっても携帯かホテルの内線電話でしか会話できないんです。
――それはつらいですね。そして、到着の翌日からお手馬の世話が始まったと思うのですが……。
松岡:検疫の問題があって日本調教馬、外国調教馬は香港所属馬の調教が終わってから馬場入りして、調教やパドック(下見所)のスクーリングなどして本番に備えるのですが、香港所属馬の調教が終わる時間を見計らって朝5時過ぎに集合がかかります。ホテルの自室からその階の業務用エレベーター用ホールに集まって1階に降り、待っていたバスに乗って競馬場に向かうんです。
――業務用エレベーターに乗るんですか?
松岡:そうです。ホテルの別のお客さんやスタッフら地元香港人には接触させないという対策なのかと思います。
そして、競馬場に着いて調教をつけるわけですが、そのときには対戦相手となる香港所属馬が芝の上にいないことはもちろん、入場に際してはマスク着用が義務付けられ、PCR検査も受けなくてはいけません。調教時もマスク着用、12月は香港で一番快適な季節ですからマスク着用の調教もさして苦にはなりませんでしたが、今年4月の国際招待競走だったら香港は真夏間近ですから、蒸し暑くて大変だったでしょうね。
日本人同士も現地では簡単には会えず
――競馬場内での行動に制限はなかった?
松岡:ソーシャルディスタンスですか?これを常にキープしなければならない。日本人同士だけではなく競馬場内で様々面倒を見てくれるHKJC職員との間でもキープしなければなりません。日本遠征組に応対するHKJCスタッフもそれまでに比べると少数に限られていました。
HKJCには亀田一洋さんという日本人エキスパートライダーがいて、これまでであれば競馬場で会って敵情視察ではありませんが、香港所属馬の様子を訊いたり、通訳してもらったりしているんですが、そのときは競馬当日まで会えませんでした。それだけ日本からの入境者を警戒、感染拡大に努めていたのだと思います。
――調教を終えてからは、どうしていましたか?
松岡:小中学校の集団登校、下校ではありませんが、調教が終わるとまた全員でバスに乗ってホテルへと戻ります。外出禁止ですから部屋に閉じこもってSNSなどで日本と連絡したり、PCで過去のレースを見直して相手馬の能力を測ったり、と真面目な、真面目な香港滞在に徹しましたよ。
――ホテルの自室に缶詰めで予習をしっかりできた甲斐あって、お手馬のウインブライトはラストランで2着でしたね。
松岡:勝たしてあげたかったですね……。種牡馬としていい子供を出してもらってウインブライトの子で香港カップ、クイーンエリザベス2世カップに挑戦して父子2代制覇、これをは果たしたいものです。そのときにはコロナもどこかに吹き飛んでいってくれることを祈るばかりです。
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