感染者ゼロ!「香港の国際競馬」のすごい防疫態勢 不安だらけの「東京五輪」とのあまりに大きい差

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2019年12月の香港カップで優勝した松岡正海騎手とお手馬ウインブライト(写真:HKJC)

この2回の国際招待競走のうち、昨年12月のHKIRに唯一人香港に遠征した松岡正海騎手にコロナ禍の香港では海外からの渡航者にどのような防疫態勢がとられていたのか、インタビューした。

松岡騎手は2019年4月のクイーンエリザベス2世カップ、2019年の香港カップで優勝。2020年春は遠征を見送ったものの、2020年12月には再び香港カップに参戦。惜しくも優勝はならなかったものの2着と、大きな戦果をあげている。

コロナ禍での香港遠征で松岡騎手が体験したこと

――昨年12月、コロナ禍の下で香港遠征をされました。それまでの2回と全く違ったのではないでしょうか。

優勝後、香港ファンからサインをせがまれる松岡正海騎手(写真:筆者提供)

松岡正海:まず出発前からそれまでの2回とは全く違いました。われわれ競馬関係者は観光用のノービザ渡航ではなくワーキングビザが必要になります。これを取得しなければならなかったのは、それまでの2回と同じでしたが、その後が大変でした。

HKJCからの要請でPCR検査が2回必要になったのですが、茨城県美浦トレーニング・センター周辺にPCR検査をできる医療機関がなかったので、渡航2週間前と直前と2度も成田空港まで足を延ばして検査を受けました。2通の陰性証明がなければ香港入境が認められないのだそうです。幸い2度とも陰性だったので香港の地を踏むことができました。

――香港に着いてから、またまた大変だったのでは?

松岡:ええ。HKJCが香港特区政府衛生部門と談判して、2度のPCR検査陰性証明があったため2週間の隔離は免除されました。そうでないと香港到着後に2週間、帰国してから再び2週間の隔離では、たった1日の競馬のために1カ月隔離されなくてはなりません。特例措置は調教師、騎手、調教助手、厩務員にだけ適用されるものですから、馬主さんはさすがに一人もおいでになりませんでした。

着いてからも大変でした。それまでの2回は馬主さん、調教師、騎手は香港サイド屈指のホテル、グランドハイアットが定宿だったのです。そこから毎朝、大型バスで各国のメディア関係者らとクロスハーバートンネルをくぐって新界にある沙田競馬場へ調教をつけに出かけていたのですが、去年の12月は新界の沙田競馬場近くの3つ星ホテルに変更。自分を含めた日本からの出走馬関係者は空港到着後、バスに乗せられてホテルに直行。香港に遠征したのは日本馬だけでしたので日本の出走馬関係者はワンフロアーに集められました。

そして一人一部屋に押し込められて香港滞在が始まりました。決して悪いホテルではなかったのですが、それまでのグランドハイアットには及びません。

すべてがそれまでの香港遠征と大きく変化しました。そして、何よりもつらかったのが外出を許可されなかったことです。食事は三度々々おいしい広東料理などを部屋の前まで運んできてくれるのですが、ピンポンと鳴ってから暫くしてからドアを開けて自分で部屋の中まででもってきて一人で食べなくちゃいけないんです。

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