中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が「中国国内の自動車メーカーに投資しようとしている」との噂が飛び交っている。
5月24日、ファーウェイはこうした噂に対して「わが社は現在に至るまで、いかなる自動車メーカーにも投資しておらず、今後もその予定はない。ましてや経営権を握るつもりもない」との声明を発表した。
4月30日のロイター通信の報道によれば、ファーウェイが中堅商用車メーカーの「小康工業集団」の傘下でEV(電気自動車)製造を手がける「金康賽力斯汽車(セレス)」の経営権を手に入れるべく、親会社の小康工業と協議中であると、複数の関係者が明かしたという。さらに、国有自動車大手の北京汽車集団傘下のEVメーカー「北汽新能源汽車」とも出資を協議中であると報じた。
4月に開催された上海モーターショーで、ファーウェイはセレスとコラボしたSUVタイプのEV「セレス・ファーウェイSF5」を発表した。また北汽新能源汽車の高級EVブランドである極狐(アークフォックス)も、ファーウェイが開発した自動運転システムを搭載したEVセダン「アルファーS HIバージョン」(訳注:HIは「Huawei Inside(ファーウェイ・インサイド)」の略称)を発表した。
噂になった小康工業と北汽新能源汽車の株価は過去1カ月で急騰した。しかしファーウェイが前出の声明を発表した5月24日の株価の終値は、小康株が前営業日比6%下落、北汽新能源汽車株は同10%も下落した。
ファーウェイは「車は作らない」ことを強調
また前出の声明で、ファーウェイは再度「車は作らない」ことを強調した。このことは2018年に策定した長期戦略でも宣言しており、現時点においてもいかなる変更もないという。ファーウェイの社内では、創業者の任正非CEO(最高経営責任者)が一貫して自動車製造への参入に反対している。2020年10月には、内部文書で「今後自動車製造への参入を提案し、社内を混乱させる者は、今の職務から外し、転職先を探してもらう」との通達を出したほどだ。
ファーウェイは北京汽車、長安汽車、広州汽車という国有自動車大手3社との提携を発表しているが、その狙いは3社が高級EVの新ブランドを立ち上げるのをサポートするためだという。それらの新ブランドで販売されるのは、前出の「HIバージョン」だ。
また小康工業との提携では、ファーウェイは「セレス・ファーウェイSF5」の部品サプライヤーであると同時に、ファーウェイ製品の大型専売店の一部でSF5も販売し、販売台数に応じたマージンを受け取ることができる。これはファーウェイのスマートフォン販売台数が大幅に減少している中で、専売店を危機的な状況から救う一助にもなる。
(財新記者:張而馳)
※原文の配信は5月24日
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