マレーシア機墜落、航空業界への余波は? JAL、ANAの欧州路線はどうなるのか

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日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)によれば、「マレーシア機が撃墜された地域を飛ぶことはない」(両社広報)。日本発の欧州線はシベリア上空や北極などを経由するルートを使うため、そもそもウクライナ上空を通らないのだ。日本に乗り入れている欧州の航空会社も同様とみられる。

また、一般的に紛争地域には一定の飛行制限がある。事故が起きたウクライナ上空にも、欧州の管制当局によって飛行制限高度が設定されていたもようだ。MH17便が安全なルートを飛んでいたのかは不明だが、こうした紛争地域はできるだけ避けて飛ぶというのが、世界の航空会社の定石である。

航空業界への影響は限定的か

世界の航空産業は時折、イベントリスクにさらされることがある。特定の事件がきっかけとなり、航空機の移動を控える人が多発するというケースだ。

たとえば、9.11の後は、ハイジャックによるテロの恐れが連想され、世界の航空需要は一気に冷え込んだ。SARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した際も、感染リスクを避ける動きが見られた。こうした案件と比べれば、今回のマレーシア機撃墜は非常に不幸な事態ではあるものの、限定的なケースともいえ、世界の航空産業全体に直ちに悪影響を及ぼす事態には発展しないだろう。

ただし、マレーシア航空といえば、今年3月にクアラルンプールから中国・北京に向かう途中で、突如、消息を絶った370便の機体がいまだ見つかっていない。事故の種類はまったく違うものの、マレーシア航空はもともとの業績低迷に拍車がかかっていたさなか。今回の新たな惨事はさらなる風評被害やブランドの低下などにつながるおそれがあり、同社の経営には重大なリスクとなりうる。

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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