バニラエアも機長不足、大量欠航が映す苦境 最後発の日系LCCが抱える、もう1つの課題とは
機長不足による大量欠航が相次いでいる。ANAホールディングス(HD)傘下の格安航空会社(LCC)であるバニラエアは5月16日、6月に国内線154便を欠航させると発表した。対象となるのは成田─那覇線、新千歳線の一部。国際線を含めた全便の約2割に当たる。
原因は、機長の採用が思うように進まない中、想定以上の退職者が発生したことだ。全日本空輸(ANA)からの出向者受け入れや病欠者の復帰などにより、7月以降は必要な機長数を確保し、従来計画に沿って運航する。
ピーチも大量欠航
パイロット不足によるLCCの欠航はバニラエアが初めてではない。ANAHDが約38%を出資するピーチ・アビエーションも、5月から10月にかけて最大2128便を欠航させると表明した。
「客数に見合った機材をなるべく効率的に飛ばすことが昔以上に求められているが、パイロットは1機に2人必要で、ボトルネックになっている」(国内線の現役機長)
安全上の観点から、パイロットには航空法にのっとった飛行時間の制約がある。上限は1カ月100時間、3カ月240時間などだ。「日本航空やANAといった大手航空会社のパイロットは、多くても1カ月60~70時間。だが、LCCは80~90時間に及ぶこともあり、3カ月で規制の上限を超えてしまう場合がある」(前出の現役機長)。