なぜか「活気のない職場」に共通する空気の正体 同じ仕事でも「飽きる人」と「楽しめる人」の差
「いま思うと、おばあちゃんは皿洗いが好きだったわけじゃない。でも皿洗いに愛情を持ち込んで、その気持ちがぼくらに伝わったんだ。
同じように、毎日魚市場へくるときに、各自がある態度を持ち込むことにぼくたちは気づいた。不機嫌な態度を持ち込んでで、憂鬱な1日をすごすこともできる。ふてくされてやってきて、仲間やお客にいやな思いをさせることもできる。あるいは明るいほがらかな顔であらわれて、1日を楽しくすごすこともできる。
どんな1日を送るかは、自分で選べるんだ。それについてみんなでさんざん話しあって、どうせ仕事にくるなら、できるだけ楽しくすごしたほうがいいと気づいた。もっともだろう?」
「ほんとにそのとおりね」
「ぼくたちはその選択についてすっかり気分があがって、ついでに世界中で有名になろうと決めた。世界に名をとどろかせるような1日をすごすほうが、平凡な1日をすごすよりずっと楽しいからね。ぼくの言ってることわかる? 魚市場の仕事は寒くて、びしょびしょで、くさくて、汚くて、やりにくい。でもその仕事をするあいだにどんな態度をとるかは選択できる」
「そうね、わかってきた気がする。毎日どんな態度で仕事にくるかを選ぶ。その選択によって、どんなふうに仕事をするかが決まる。どうせ仕事をするなら、平凡で終わるより世界的に有名になるほうを選ぶ。とても簡単なことに思えるわ」
「態度を選ぶ」ことからすべてが始まる
「理解するのは簡単でも、実行するのはそうたやすくはない。ぼくたちは一晩でここをつくりあげたわけじゃない。1年近くかかった。ぼく自身、すごく扱いにくい人間だった。不満だらけでね。この前も言ったとおり、私生活もめちゃくちゃだった。でも気にしたこともなかった。人生ってものがわかってるつもりだった。人生は一筋縄ではいかないものだから、こっちもタフでなきゃと思ってた」
「これまでとはちがう魚市場をつくろうという話になったとき、毎日をどうすごすか自分で決められるという考えに抵抗した。自分が被害者だと思ってるほうが楽だったんだ。年上の仲間がぼくをわきへ呼んでね。やはりいろいろつらい経験をしてきたやつだったけど、そいつが魚を売るもの同士のよしみで、じっくり説明してくれた。ぼくも反省して、やってみることにした。それでそのすばらしさがわかった。人は自分のとる態度を選べる。自分がそうしたから、それがわかる」
メアリー・ジェーンはロニーの話と、それを話している彼自身にも感銘を受けた。顔をあげるとロニーがふしぎそうに見ている。彼女はぼうっとしていたらしい。
「ごめんなさい。やってみるわ。ここがうまくいっている理由が、ほかにもある?」
「4つの要素があるけど、いちばんのポイントはいま言ったことだ。態度を選ぶことをしないと、それ以外のことは時間の無駄だ。今日はここまでにして、残りの3つはまた今度にしよう。最初の要素をどう応用できるか、考えてごらん。ほかの要素を話しあう準備ができたら、電話してくれ。番号はわかる?」
「あらゆるところに書いてあるじゃない!」
「そうだったね。ぼくたちは控えめな人間じゃないんだ。また会おう。ヨーグルト、ごちそうさま」
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