ローランド、TOB成立でもくすぶる「火種」 焦点は、応募しなかった株主の"追い出し"
梯氏は「ソフトウエアでも、ハードウエアでもなく、楽器はアートウエア。10年、20年の開発が必要な芸術の仕事は、短期的な利益を求めるファンドの人には難しい」と指摘していた。(詳しくはこちら)
こうした梯氏の主張に対し、ローランドの三木純一社長は「ロングレンジの開発が必要なことはもちろんのことだが、それも長きにわたるコミュニケーションを経て、タイヨウさんに理解してもらっている」と反論する。
タイヨウのヘイウッドCEOも「三木さんが社長になったから、(タイヨウとして)初めてのMBOにも踏み切った。乗っ取ろうとか、私が社長に就こうとか、そんなことは考えていない。梯さんのこともとても尊敬している」と語っていた。(詳しくはこちら)
ローランドの筆頭株主である財団は、6月20日の評議員会を経て保有株式の売却を見送った。梯氏個人としても、OB株主などに応募を思いとどまるよう説得して回った。また、TOB期間中に開催された株主総会でも、持参した資料を掲げて「ローランド弱体化の構図」を株主に示すなど、TOB阻止に向けて精力的に動いた。
だが結局、TOBは成立した。積極的か、消極的かはさておき、今回のMBOが多くの株主に支持されたということだ。「機関投資家は非上場株を持てないという内規があるため、TOBに応じる傾向がある」(別の投資ファンド幹部)。
スクイーズアウトで波乱も
これでMBOをめぐる騒動が万事決着かといえば、そうではない。今後は株式を100%取得するため、TOBに応募しなかった株主を追い出す「スクイーズアウト」が行われる。日本では上場企業が簡単にスクイーズアウトする例が多く見られるが、この段階から紛糾するケースもある。TOBに応じなかった株主から「買い取り価格決定申し立て」が出た場合だ。
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