ローランド、TOB成立でもくすぶる「火種」 焦点は、応募しなかった株主の"追い出し"

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電子楽器の老舗、ローランド。TOBが成立したが、MBOをめぐる火種はまだくすぶっている(撮影:今井康一)

注目を浴びているMBO(経営者による買収)が大きく進展した。電子楽器大手のローランドは7月15日、MBOに向けた特別目的会社によるTOB(株式公開買い付け)が成立したことを発表した。

TOBには全部で1840万5485株(発行済み株式の82.9%)が応募。成立要件だった買い付け予定数の下限(1479万8500株、同66.6%)を上回った形だ。今後は臨時株主総会を経て、ローランドは今秋にも上場廃止になるとみられる。

「投資ファンドに根こそぎやられるのは情けない。社員も誇りを失って、会社を辞めていくかもしれない」。ローランドの創業者で、同社株の約10%を保有する筆頭株主だったローランド芸術文化振興財団の理事長でもある梯(かけはし)郁太郎氏は、悔しさをにじませた。

創業者の反対で泥沼化

そもそも、このMBOが注目されたきっかけは、電子楽器業界の“レジェンド”である創業者の梯氏がMBOへの反対を表明したことだ。

低迷する電子楽器事業の立て直しが急務であること、ベンチャー気質の開発を加速するためには非上場化が有力な方法であることなど、梯氏と現経営陣の見解が一致していた面もあった。ただ、米国系投資ファンド「タイヨウ・ファンド」のMBO参画をめぐっては、当初から両者の意見が決定的に食い違っていた。

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