キッコーマン、新社長が担う9期連続最高益の重責 「豆乳ブーム」背景に成長戦略を加速できるか

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堀切社長が率いてきた8年間でキッコーマンの業績は大きく成長した。2013年3月期に3002億円だった売上高は、2021年3月期に4681億円と約1.6倍に伸びた。営業利益は198億円から426億円と約2.2倍に、純利益は110億円から288億円と約2.6倍になった。純利益は8期連続で過去最高益を更新中だ。

利益を大きく伸ばす原動力となったのが、海外市場の成長と国内市場での高付加価値品の浸透だ。海外は北米に加え、欧州市場が新たな柱に育ってきた。

人口減少の進む国内では、量ではなく質を追う戦略を採った。2010年に発売した小型しょうゆ「いつでも新鮮」シリーズが主力商品に成長。独自開発の密閉容器で鮮度を保った同商品は「生しょうゆ」ブームを作った。

コロナ禍に見舞われた2021年3月期は、売上高を前期比0.1%の微減にとどめ、営業利益や純利益をしっかりと伸ばした。国内は飲食店向けの業務用商品の販売が苦戦し、減収減益となったが、アメリカなどの海外は業務用の減少分を家庭用しょうゆや調味料の販売好調が補い、増収増益となった。

現地への溶け込み努力が奏功

しょうゆは寿司など日本食でしか使われないイメージがある。だがキッコーマンでは、アメリカであればバーベキューや炒め物でしょうゆを利用してもらうことを提案し、現地の食文化に溶け込ませる努力をしてきた。このことが、コロナ禍での巣ごもり需要で販売量を伸ばすことにつながった。

2022年3月期は、大豆など原料の高騰はあるものの前期と比べて業務用商品の売り上げが回復するとみて、増収増益を計画している。純利益は下半期にアメリカでの法人税率引き上げを見込み、ほぼ横ばいの伸び幅だが、9期連続の最高益更新を視野に入れる。

「国内市場でも成長し、成功することが、海外に対してもよい影響を及ぼす。当面は引き続き国内(の事業会社である)キッコーマン食品の社長も務めるので、国内事業をしっかり育成していきたい」。中野専務は会見で意気込みをそう語った。

目下の課題はコロナ禍で影響を受けている業務用販売への対応だろう。一方、成長という点で注目されるのが豆乳飲料だ。 

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