キッコーマン、新社長が担う9期連続最高益の重責 「豆乳ブーム」背景に成長戦略を加速できるか

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売り上げを成長させることが難しい国内において、大きく貢献しているのが豆乳飲料だ。

練り物で有名な紀文食品で豆乳を発売していた紀文フードケミファ(現キッコーマンソイフーズ)を2008年に完全子会社化。買収当初、140億円だった豆乳飲料の売り上げは、健康志向を背景に10期連続の増収となっている。2021年3月期の売り上げは411億円と完全子会社化時の約3倍になった。

国内の売上高は、和風そうざいの素「うちのごはん」などの食品、飲料、しょうゆの順で構成比が高いが、豆乳飲料は全体の22%を占め、26%のしょうゆに次ぐ柱となっている。日本豆乳協会によると、2020年の豆乳の生産量は43万キロリットルと10年連続で過去最高を更新。キッコーマンはシェア50%とダントツの1位だ。

日本豆乳協会会長で、キッコーマンソイフーズの重山俊彦会長(いずれも当時)は2020年10月の記者会見で、「牛乳の消費量は家庭用、業務用を合わせて280万キロリットルの消費があると認識しているが、その15%に当たる量まで育ってきた」と話し、今後10年で70万キロリットルを達成したいと意欲を見せる。ここ数年は健康志向の高まりや料理用途の普及によって、甘みなどが加わっていない無調整豆乳が伸びている。

アフリカやインドで成長を模索

豆乳の愛用者は50代から60代。キッコーマンがいま、力を入れているのが若年層への浸透だ。直近では、消費者が広めた「豆乳をパックごと凍らせる」などのアレンジ情報をツイッターで積極的に発信したり、声優やキャラクターとのコラボキャンペーンを展開したりしている。

一方、海外にもキッコーマンの成長の余地はある。2018年にキッコーマンが発表した「グローバルビジョン2030」では北米や成長途上にある欧州、オーストラリアに加え、2020年代に南米、2030年以降にアフリカやインドで「成長ステージに入る」ことを目標に掲げている。

キッコーマンは2020年に南米とインドに販売会社を設立した。先行するアメリカや欧州では、販売会社を設立してから現地で製品を生産するまで約15年かかった。今後も地道な市場開拓が必要となる。

コロナ禍も加わり、消費者の行動や市場環境は激変している。社長COOとして業務執行を新たに担う中野氏には、これまでにないスピード感での戦略実行が求められる。

兵頭 輝夏 東洋経済 記者

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ひょうどう きか / Kika Hyodo

愛媛県出身。東京外国語大学で中東地域を専攻。2019年東洋経済新報社入社、飲料・食品業界を取材し「ストロング系チューハイの是非」「ビジネスと人権」などの特集を担当。現在は製薬、医療業界を取材中。

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