「しょうゆ」の次は?キッコーマンの海外戦略 和食ブームを追い風に食品卸でさらなる成長
営業利益に占める海外の比率が7割超! ”内需型”の企業が多い日本の食品メーカーの中で、キッコーマンの海外展開力は異彩を放っている。伝統ある最大手のしょうゆメーカーとして、ドメスティックなイメージの濃い同社だが、実は半世紀も前から海外へ進出しているグローバル企業だ。その成果は着実に実りつつあるが、ここにきて新たな課題が浮上している。
しょうゆが合う米国人好みの料理を開発
世界100カ国以上で販売されているキッコーマンのしょうゆ。本格的な海外進出の歴史は1957年、米国で始まった。サンフランシスコに販売会社を設立し、しょうゆを用いた米国人好みの料理の開発や、スーパーなどでの試食販売を実施。しょうゆが肉料理によく合うこと、そしてスープやドレッシングの味付けに適していることを訴求し続けた。
こだわったのは、現地の料理の味付けに、しょうゆを浸透させることだ。和食レストランや日系人の間だけでなく、幅広い場面や人々にとって欠かせない調味料とすることを目指した。その後、狙いどおりに米国でしょうゆの需要が拡大。1973年には、原料処理から製品化に至るまでの現地生産を開始した。
キッコーマンにおける米国展開の貢献は大きく、同社の海外しょうゆ事業の売上高に占める北米地域の割合は70%近くとなっている。今後、海外しょうゆ事業は、成長市場の欧州やアジア、豪州で、年平均10%以上(現地通貨ベース)の売上高アップを目指す。
戦略は一貫している。米国と同様に、現地の嗜好に合わせた商品開発とマーケティングを推進するのだ。たとえば、イスラム教徒の人口が増加している欧州では、彼らが安心して口にすることのできる、イスラムの教えで許可されたハラル対応のしょうゆを販売。甘辛い味付けが好まれるタイでは、しょうゆだけでなくテリヤキソースを積極的に展開している。
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