東京女子医大の現役医師が訴える深刻な労働実態 退職超過「診療に支障きたす事実ない」は本当か

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<影響① 内科合同当直 担当医師は150人から100人に>

東京女子医大の3つある付属病院で、中心的な存在が東京女子医科大学病院(東京・新宿区)。本院と呼ばれ、40を超える診療科と約1,200床を擁する巨大病院である。

医師一斉退職は、本院の「内科合同当直」に深刻な影響を与えた、と本院に勤務するB医師は証言した。

「今年4月から、内科合同当直を担当する医師が、約150人から約100人に減りました。医師の出入りが多い大学病院とはいえ、新人の内科医が明らかに少ない。私が東京女子医大に入局して10年以上になりますが、こんな異常事態は初めての経験です」(B医師)

内科合同当直とは、血液内科、呼吸器内科、高血圧・内分泌内科、消化器内科、腎臓内科、糖尿病・代謝内科、膠原病リウマチ内科、化学療法・緩和ケア科、総合診療科の合計9つの診療科が、持ち回り制で夜間の当直を担当する方式である。

1人の医師が100床以上を担当する合同当直

当直する医師は1人。100人の当直要員がいても、救急外来や新型コロナ病棟などの担当もあるため、各医師に毎月2、3回は当直業務が回ってくるという。

「内科合同当直で担当する入院患者は、100人以上。女子医大は重症の患者さんが多くて、夜間の急変時などに医師1人で対応しなければなりません。
同じ内科とはいえ、診療科の専門性がかなり違います。病気によっては、ごくわずかな頭痛や微熱が重篤な状態に進む前のサインだったりする。専門の先生に電話で教えてもらう、オンコールというシステムもありますが、些細な症状で真夜中に電話で起こすのは、躊躇することもあります」(B医師)

以前の当直体制は、診療科ごとに医師が対応していたので、夜間は常時約15人の医師がいた。それが2017年ごろ、効率化や経費削減という病院の方針で、現在の合同当直に切り替わった。現場の医師からは反対する声もあったが、押し切られたという。当初の合同当直は医師6人体制で始まったが、どんどん減らされて現在は1人になっている。

<影響② コロナチームの主力医師が半減>

本院では、総合診療科が中心となって新型コロナ感染症の対応をしているが、スタッフが足りないため、脳神経、循環器、消化器など内科系の診療科から応援の医師が加わり、20人の混成コロナチームが編成された。

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