「夏のボーナスゼロ」
「約400人の看護師が一斉退職か」
前代未聞の事態が、各メディアによってセンセーショナルに報道された、東京女子医科大学病院。事態は急転直下、東京女子医科大学病院は資金繰りのメドがついたとして、ボーナスに代わる「手当」の支給を表明した。だが、以前から押し進める経営改善プランは、職員の生活を一気に破壊する内容であることがわかった。
新型コロナウイルスの「ホットゾーン」というべき、東京・新宿区に位置する女子医大で、教職員が抱える苦悩と本音とは?
そして、女子医大の栄光と転落のすべてを知る、心臓外科医・佐藤一樹氏に、問題の本質と再生に向けた処方箋を聞いた。
東京女子医大の奇妙な言い訳
7月17日午後8時36分、女子医大の広報室から1通のメールが届いた。
添付されていたのは、同日付で教職員向けに出された内部文書。そこには、意外な一文が記されていた。
「元々の考えとして、上半期賞与を全く支給しないという決定ではなかったことを、まずはご理解いただきたく存じます」
そして福祉医療機構(筆者注:医療機関などに融資を行う国の独立行政法人)からの資金調達によって、8月に手当を支給する原資が確保できたとある。
この件について、筆者は7月16日付の記事「東京女子医大病院『400人退職』の裏にある混沌」において、ボーナスゼロが表面化した後、女子医大が一転して支給に向けて検討していると報じた。信頼できる関係者から情報を得ていたからだ。
とはいえ、今になって「上半期賞与を全く支給しないという決定ではなかった」とする女子医大の主張には矛盾を感じる。なぜなら6月12日付の職員向け文書には、次のように書かれているからだ。
「令和2年度上半期賞与につきまして、まず結果から申しますと6月の上半期賞与については支給しないと決定しました」
ちなみに、女子医大の公式HPに掲載されている、看護師募集の要綱には、「賞与(ボーナス)」について、年2回(2019年度実績/4.45カ月)と、明記されている。(7月20日時点)
気になるのは、8月に支給されるのが、ボーナスではなく「手当」としている点だ。女子医大の関係者に経緯を確認すると、驚くべき事実を教えてくれた。
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