「経営者側から、増収策やコスト削減案など、業務改善計画を提出した部署に対して、手当を支給するという提示がありました。
現場は猛反発です。ボーナスは、新型コロナの対応で大変だった、この半年分の報酬ですよね。それがなぜ、利益をあげるアイデアと引き換えの手当になるんですか」
ボーナスと手当は、共に実質的な賃金と解釈されるが、業務改善計画と引き換えに支給するという発想は、医療機関として違和感を覚える。
そもそも女子医大病院は、若手の医師や看護師を育てる教育機関でもある。いくら赤字経営とはいえ、教育の現場に「増収策」を求めるのは、不適切ではないだろうか。
調べていくと、女子医大の経営陣は、禁じ手ともいえる奇抜な「増収策」を計画していたことがわかった――。
大学病院を年中無休にする仰天プラン
「3年ほど前から、現在の岩本絹子理事長が『他の病院と同じことをやっていてはダメ』『休んでいる時に働けば利益が上がる』と言い出しました。これに賛同した田邉一成病院長が職員に提示したのが、〝土日の診療=年中無休プラン〟です。
これには、今よりも大勢のスタッフが辞めると反発しましたね。『本気で闘う』と言う人が多くいました。まともな生活ができなくなるからです」(前述の女子医大・関係者)
女子医大に勤務する若手・中堅医師の中には、大学の給料が総収入の半分以下しかない人が少なくないという。
外勤と呼ばれる他の病院での診療アルバイトは、大学病院の勤務医にとって日常化している。中でも、当直は1回10万円前後。こうした外勤収入のほうが、女子医大の月給よりも多くなるのだ。
これが、年中無休の診療体制になると、外勤は不可能になる。それでは生活できないと、若手の医師たちは猛反発したのだ。
また、女子医大には、小さな子供がいる看護師も多く、土日に預けられる保育園の確保は、極めて難しい。
確かに「年中無休」の大学病院が登場すれば、インパクトは大きい。
話題となって患者が増加し、経営陣が期待する「増収」は実現できるだろう。その代償として、医師や看護師、事務職などの負担は激増する。「働き方改革」が進む時代の流れに、逆行する経営方針ではないか。医療のクオリティーを維持できるのか、という懸念もある。
結局、職員の強い抵抗を受けて「年中無休プラン」は、いったん取り下げられた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら