『シャッターアイランド』--英語も経済力?《宿輪純一のシネマ経済学》
東洋経済の記事(→こちら)にもあったが、この映画の特徴は「超日本語吹き替え」である。
字幕スーパーが付いた映画では画面を見る約6割の時間が文字を読むのに取られるとも言われている。ということは本来の映画に集中し、画面やストーリーを理解する時間が少なくなっている。
その問題を解決するのが「吹き替え」であるが、その吹き替えを今までのように“英語訳然”としたものではなく、日本語として“超”自然な内容にしたものが、「超日本後吹き替え」である。ちなみに字幕スーパーの「スーパー」は「スーパーインポーズ(superimpose:重ねる)」の略である。
海外では、他国の映画の多くは吹き替えである。一方、日本では洋画はまだ字幕スーパーのほうが多い。日本人の映画ファン、特に少し年配の方には、俳優の声を聞きたいという気持ちも多い。しかし、若い人を中心にだんだんに吹き替えに抵抗感もなくなってきているようである。
このようなことは、日本人が映画の英語を理解できるようになれば、なくなる問題でもある。最近、日本経済は国内主導の経済成長に期待する人はほとんどいない。アジアなど海外の経済成長を取り込んでいくことが成長戦略と考えられている。このような状況下、国際語である「英語」を身に付ける必然性は増している。逆に気になるのは、最近よく言われる大学生の海外への興味の薄れだ。
英語が“経済力”の一つのとの見方もある。アジアで英語力が強い国、シンガポール、インド、フィリピンなどはその英語力が経済の強みの一つともなっている。インドはアカデミー賞映画『スラムドッグ$ミリオネア』にも出てきたが、英語圏のコールセンターなどはダイレクトに英語力を商売に生かしている。