「自由にものが言えるから」自民党に入った政治家 わずか65日の石橋湛山政権をいま問い直す意味

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左から石破茂氏、保阪正康氏、船橋洋一氏(撮影:尾形文繁)
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前回記事「日本の近現代史を正した「たった4票」の重み」で、『石橋湛山の65日』の著者である保阪正康氏の講演について紹介した。この講演の後、政治家の石破茂氏とジャーナリストの船橋洋一氏も加わり、保阪氏とともに「石橋湛山と保守政治」についてパネルディスカッションを行った。本稿では、その一部をここで紹介する。

若い政治家も湛山を知らない

東洋経済新報社創立125周年記念イベントのパネルディスカッションは、船橋洋一氏による保阪正康氏の講演についての感想から始まりました。

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「保阪さんの講演を聞いて、石橋湛山は非常に奥の深い政治家なのだと知りました。そして、いま、もし湛山が生きていたら、あるいはもう少し長く政権を担っていたとしたら、現代の日本の政治はどうなっていたのかを考えていきたい」

これが、パネルディスカッションの大きなテーマです。保阪氏の講演では、石橋湛山が気骨ある言論人であり、日本を思う政治家だったことがわかりましたが、はたしていまの政治家に、湛山のような人がいるのでしょうか。そう考えたところで、数えるほどしか政治家を知らない私に、その顔が浮かんでくるはずもありません。

では、政治家である石破茂氏はどう見ているのでしょうか。国民からの人気は高いけれど、議員票がなかなか集まらないといわれる石破氏は、きっと皮肉交じりに、現代の政治家をバッサリ切り捨ててくれるのだろうと期待が高まります。石破氏は、あの穏やかな口調で話し始めました。

「私は昭和32年2月4日生まれで、そのときの総理大臣を調べてみたら石橋湛山先生だったんですね。わずか65日の政権でしたけれども。また、40年前に亡くなった父が、建設省の事務次官を務めていた時、湛山先生が建設臨時代理だったという不思議な縁もあります」

さすが人気が高い政治家です。この一言で、講演会会場は一瞬にして温かい空気に包まれました。

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